とんでもないアホ5【ツイステ】【男主】

191話 ページ10

Noside





ｶﾘﾑ｢なんだ、アレ？｣




スカラビア寮に帰る途中、カリムは振り返って首を傾げた。


隣を歩いていたジャミルも、同じように振り向く。




そこには大食堂を中心に、七色に輝く窓があった。





そしてチラリと窓から見えた人影に、ジャミルは目を瞑る。



またか。





ｼﾞｬﾐ｢行こうカリム。宴を開くんだろう？｣



ｶﾘﾑ｢ああ！…だけど、アレが何か気になる！行ってみようぜジャミル！｣



ｼﾞｬﾐ｢あっ、おい！｣





校舎へ走り出すカリムに、ジャミルは頭を抑える。




またアイツに巻き込まれるのはゴメンだ。




カリムの後を追いかけて、辿り着いたのは大食堂近くの廊下。



そこには、ジャミルが予想していた人物が、アホみたいに窓を雑巾で塗装していた。



カリムはAを見つけるなり、猛突進で突っ込んで行った。


『ぐぶほぉぉっ！！！』


勢いで地面に衝突するAに、ジャミルは内心鼻で笑いながらも手を貸す。



ｼﾞｬﾐ｢大丈夫か？こらカリム、声も掛けずに突進するな。危ないだろう。｣



ｶﾘﾑ｢ご、ごめん！！！怪我ないか？Aは小さいもんな〜。｣



『ははは、蹴っ飛ばすぞ。』



ｼﾞｬﾐ｢その短い足で？…ああいや、何でもない。｣



つい口から出てしまった皮肉に、ジャミルは目を逸らす。



Aは聞き逃さなかったぞ。と目で訴える。



ｶﾘﾑ｢それよりも、何してるんだ？これ。｣


綺麗だな！と能天気に笑うカリムに、Aはうんうんと頷く。


『学園長サンから窓拭き掃除100枚の刑を言い渡された。』



だろうな。とジャミルは目を細める。



それにしたって、こんな仕打ちでは罪の上塗りだろう。




馬鹿も度が過ぎるとこうなるのか。



ｶﾘﾑ｢でもこれじゃ、窓の外が見えなく無いか？｣



『チッチッチッ。分かってないなあ〜。窓っていうのは、外から見た見栄えが大事なんだよ。』



今現在、外から見た見栄えは最悪だったが。とジャミルは心の中で思う。



『それじゃ、俺は窓拭きで忙しいから。また今度構ってあげるから、今は集中させて。』



ｼﾞｬﾐ｢いちいち腹の立つ言い方だ……カリム、俺たちも宴の準備をしに寮に戻るぞ。｣



ｶﾘﾑ｢おう！じゃあまたな！A！！｣



今度宴に遊びに来いよ〜！とカリムは言い残して、ジャミルと共に去って行った。



そして手を振るAの後ろには、見知った白黒の影が。










雷が落ちるまで、あと2秒。

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