うさぎ ページ5
今日は久しぶりのメンバーで、バスケをすることになっていた。
帝光中から近いストバスのコートを借りて、それぞれチームに分かれて準備を始める。
カバンからバッシュを取り出した時だった。
「あれ〜？赤ちんそれどうしたの？」
鞄に付いているうさぎに、敦が気がついた。
「うさぎ…ですか？可愛らしいですね。」
「へー意外だな。お前そんなもん付けないと思ってたわ。」
黒子、青峰、僕もそう思ってたよ。
すると後ろから、ニヤニヤしながら黄瀬が寄って来た。
「もしかして赤司っち…彼女とか？」
「お前も知っているだろう、赤司には許嫁がいるのだよ。」
あ、そうか…と言って、黄瀬は考え込む。
「だが、彼女はそんな子供っぽい趣味だったのか…？」
まじまじとうさぎを見つめる緑間。
「それ、ゆきがあげたんだよ！！」
後ろから突然声がして振り向くと、そこには帝光中の制服姿のゆきが。
まだ昼下がり。
授業が終わる時間だっただろうか？
「わーいちゃんと付けてる！せっちゃんえらい！」
えへへと言いながら、座っている俺は頭を撫でられる。
スカートのポケットからくまのぬいぐるみが見えたが、学校で怒られないんだろうか？
「やぁ、ゆき。約束通り付けたよ。君のわがままは大変だからね。」
「わがままじゃないもん！」
2人で話していると、「誰？」と言いたげな顔でみんながこちらを見ていたので、紹介した。
「へぇーお嬢様っスか！」
「んじゃ後輩だな。」
「その後輩が普通に赤司くんの頭を撫でていましたけど。」
本当だ、何故だろうか…たぶんこの子が、あの子に似ていると思っている節があるからかな。
なんとなくだけど。
ゆきが黄瀬や青峰と戯れている間、緑間が口を開いた。
「…なんなのだよこいつは。」
「なにがだい？今説明した通り…」
「許嫁というものがありながら、お前は他の女からもらったものを身につけているのか。」
女って…ゆきは友達だし、まだ中学生だ。
それに俺は、許嫁のことは……
「今日、彼女も来るよ。近くで用があるから、ついでに見学したいそうだ。」
そう言うと、緑間は固まった。
「彼女もゆきには会ったことがあるし、割と仲がいいんだ。ゆきは妹みたいなものだしね。」
「………」
緑間が厳しく言ってくる理由は一つ。
本人には聞いたことはないが、俺にはお見通しだ。
なぜなら彼は、
俺の許嫁に好意を抱いているのだから。
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作者名：ナイン | 作成日時：2018年2月25日 20時
