総統様と怪盗様と日常

魔法の代償 ページ7

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私が得意とするのは物変え。
ターゲットが持っていた私物を違う物に変えるという魔法だ。
この魔法はよく海外で仕事のときにやる手法だが、例えば500円玉をペットボトルのキャップにとか、宝石をおもちゃにだとか。様々な変化をさせて関心を持たせることをする。

今回は最原くんがお手伝いしてくれるということで。
遠征のときと同じように手際よく、最原くんが持っていた手帳を、新品の真っ白なノートにしてみた。

「わっ、ホントだ……」

「おお！Aやるではないか！」

「へー、つまらなくないやり方だね！」

……三人から関心の声が沸く。成功したみたい。

「ふーん、Aちゃんにしては凝った手品」

「魔法だって」
「魔法じゃ！」

「はいはーい、魔法ね」

王馬は「にししっ」と子どもっぽく笑って、私の魔法で退屈しのぎになったのか、部屋から出て行こうと私に目で合図を送ってきた。
……着いてこいってことか。とても悪い顔をしている。

苦笑いをして、別れ惜しいが残されるであろう二人に「またね」と挨拶をする。

「最原くん手伝ってくれてありがとう。お陰で良いものができたよ」

「ううん、全然……」

「A！今度はウチと一緒にショーをやろうではないか！
お主となら色々な魔法が使えるような気がするぞ〜！」

「うん、けじめをつけてから一緒にショーをやろうね」

最原くんは考え事をしていたのか反応が薄かったものの、夢野ちゃんはすっかり打ち解けてくれたようで、とてもご機嫌に絡んでくれた。手を振って出ていく。


……王馬を追っかけて食堂から出ようとしたとき、最原くんから睨まれたような気がしたけど、まぁ。

言わないと、返してあげないよ。
私は怪盗様だからね。



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