最初で最後の。【切原赤也】

１８話 ページ18

「だけど、赤也の口から『テニスも頑張る』って聞けてよかった。それが聞きたかったんだ」


「そりゃあ当たり前っスよ。A先輩とテニスは別の話っスから」


A先輩に夢中になってテニスを疎かにするということはしない。


「うんうん。でもさ、大変じゃない？好きな人と学年が違ったら、どうやって距離縮めるの？」


「あー……それなんスよね」


「元から赤也を好きな子ならまだしも、相手は高宮さんでしょ？なんでわざわざあんな難関に挑戦するかなぁ……」


それは、自分でもそう思う。


でも、好きになってしまってはもう仕方がない。


A先輩を好きっていう気持ちを捨てるというのは、楽な方を選ぶということだ。


A先輩に振り向いてもらうのは簡単な事じゃない。だけど、それから逃げるなんて負けず嫌いな俺がすることじゃないと思うんだ。


「＿＿よし、わかった！優しい部長さんから、ご慈悲をあげよう」


脳内で『ごじひ』とやらの漢字変換ができず、赤也はハテナを浮かべる。


「昼休みはいつも部活メンバーでご飯食べてたけど、赤也は高宮さんと食べたらどうかな？」

１９話→←１７話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す