【喧嘩松】私たち、喧嘩部です。【おそ松さん】

25.兄弟 ページ26

一松side


…Aがトッティを連れて消えていった後、部室はただ不穏な雰囲気が広がっているだけになった。


正直、不安でしかない。


理由？

分かるでしょ、そんなの…


「ッチ…」


おそ松兄さんが、不機嫌。


昔から僕らの兄さん、おそ松兄さんは、長男として色々任されてたから、ストレスが溜まりやすい。

でも、やっぱり長男きっての性格か、身近な人への八つ当たりは絶対にしない。


…けど、今回はどうなんだろう。


全部とは言えないけど、Aには結構な非がある。

そして、その誘いを断らかなったトッティにも。

事情は大体把握してる。

ずっと影で生きてきたから、その分人の流す噂や話が自然にすぐ耳に入ってくるようになった。

…確かにサプライズだったり手作りだったり、おそ松兄さんは凄い喜ぶだろうし…


でも、だからと言って、Aは鈍感過ぎる。


おそ松兄さんの、その…か、彼女っていう自覚がないのかな。


…何馬鹿なこと考えてるんだろうな、俺…


そんな事、一人で考えてたって意味無いのに。

…相談、しよう。


おそ松兄さんの、一番の相棒に。


「…チョロ松兄さん…」


「…？何、一松。」


何で今？と言うかのように、兄さんは、首を傾げ。


「話したいことが、あるんだけど…」


更に首を傾げる。


「？…いいよ、話そう。…えっと…陸人、外出てていい？」


「…構わん。が、電話が来たら連絡する。すぐに来い。」


僕と兄さんは、はい、としっかり返事をして、部室を背中に、少し離れた先の階段の踊り場に腰をかける。


「…で、何？話したいことって。」


「…分かるでしょ、大体。」


そう言うとチョロ松兄さんはため息をついて、


「そりゃ分かってるけど、僕じゃなかったらそれ通じないよ？…物事ははっきり言わなきゃ、いつか皆も」


「…チョロ松兄さんだから、言ったの」


兄さんはもう1度ため息を吐く。


「で、どうしたら兄さんの機嫌が直るか考えてるってこと？」


「…そう」


いつもの小さい声で返事をする。

兄さんは腕を組んで壁に寄りかかっていた。


「A本人に言って誤らせるのが一番だと思うけど」


「…でもあの性格だし、おそ松兄さんのこと話しても謝らないと思う」


「だよねぇ。っていうか『なにそれ？意味不明』とか言って逆ギレしそう…」


今度は2人分のため息が重なる。


「…どうしようか。」


悩んでいる矢先、ドタバタと一つ足音がし、それに続くように大量の足音が聞こえた。

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