【喧嘩松】私たち、喧嘩部です。【おそ松さん】

23.嫉妬 ページ24

陸人side


今日もつまらない授業だった。

教室の空気は荒れ狂い、下臈は俺を横目に噂。


…何が楽しいんだろう。


何度もそう思った。

だが、他人の考えることなど分かるはずない。

ただ、一つだけ言えること。


今この時間、

部活に居られるこの時間だけは、あの教室とは比べ物にならない程に、明るげな空気が漂っていた。


『なぁ陸人』


「！…なんだ、A」


別にAから話しかけられるのは驚くことでもない。

ただ、A自身の鈍感さと容赦の無さへの、呆れと驚きが混じっただけだ。


『今ちょっと喜んだでしょ、久しぶりの出番だから』


なわけが無い。

…ただ、その一方でAと話すのは楽しかったりもする。


「…残念だが、お前の予想は大きく外れている。その前に要件を済ませてくれ。」


早口で言った事で、焦りが出てないか不安だったが、
案の定Aは、己の鈍さをフル活用し、呆れるように眉を八の字にしていた。


『相変わらずお硬いなぁ…』


早く言え。

そう目で訴えると、Aは一つ溜息を吐き、そのまま続けた。


『嫉妬とかヤキモチって、どういう時になるの？』


「その状況が気に食わない時だろう」


典型的な回答。

可もなく不可もない。


俺とAとの関係もそうだ。

必要な時もあれば不要の時もある。


『そんなの分かってるよ。何処が気に食わないのって話。』


…いくら俺でもそこまでは分からない。


「人や状況によるものだから、詳しくいうにも分からないな。」


『んー…じゃあ、例えば陸人はどんな時が気に食わないの？』


例えば、…何故かA関連で多数思い浮かべてしまった…


「お前と、あの脳内お花畑赤パーカーがカップルになった時だな」


『えっ…陸人、もしかして…』


「嗚呼、お前なんかに青春が訪れているということが気に食わない。」


そして、俺自身のこの素直になれない所も気に食わない。


『うっわ最低』


「そうか？マシになったと思うぞ。前まではそれを受け入れることすら耐えられなかった」


俺の口は、人を貶す為だけに生まれてきたかの様にペラペラと嫌味を並べる。


『…お前今日だけ凄い毒舌じゃない？』


「…そんなことは、ない」


そうだ、少し調子が悪いだけ。

おそ松とAの関係など、どうでもいい。


『そっかー。』


Aはそのままここを離れた。

恐らく優月辺りだろう。


…チクリ。


心のどこか奥。


離れる彼女の背中を見て、少しだけ罪悪感が募った。

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