□帰宅 ページ45
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「……」
「うちのアパート、一応ペット禁止だから静かにね…」
うちのアパートに着いて、猫ちゃんにシーっと言うと、そーっと階段を上がって玄関を開けた。
「狭いけどどうぞ」と言うと、一松くんは小さく頭を下げて「お邪魔します…」と中に入った。
「一松くん、猫ちゃんと一緒にシャワー浴びてきて!」
「……いいよ俺は」
「いいからいいから!」
タオルを押し付けてお風呂へ一松くんを無理矢理連れて行くと、「ご飯作って待ってるね」と言って戸を閉めた。
何を作ろうかなぁと台所に立って考えていると、ポケットの中の携帯が鳴る。開けてみると、カラ松さんからLINEが入っていた。
『一松、見つかったか?』
『見つかりました!帰りたくないらしいので、暫くうちで過ごすことになりました』
と返すと、すごい勢いで電話がかかってきた。
味噌汁を作りながら携帯を耳に当てると、「ちょっと!!A!!!」とものすごい声が聞こえた。
「も、もしもし?カラ松さん?」
「おそ松!ていうか何!?一松、今Aの家にいんの!?」
「Aさん今すぐ一松を追い出してください!!」
「いや…でも今シャワーを……」
「「シャワー!?」」
おそ松さんとチョロ松さんの大袈裟な反応に苦笑いしていると、携帯を奪い返したらしいカラ松さんが気を取り直すようにゴホンと咳払いした。
「カラ松ガール、一松を見つけてくれてありがとう」
「いえいえ!見つかってよかったです」
「だが、それとこれとは別問題だ。今からそっちに行くから待って…」
「来なくていいから」
いつの間にか早々に風呂から上がっていた一松くんが私の手から携帯を奪い取ると、「つーか、来るな」と低い声でカラ松さんに追い討ちをかける。
携帯から「いや、一松…」とカラ松さんの弁解する声が聞こえたけど、一松くんは気にすることなく通話を切った。
「あいつらから電話かかってきても出なくていいから」
一松くんはそう言うとぽいっと私の携帯を私に向けて投げた。そのまま猫を抱き上げると、頭からタオルを被ったままこたつに入り込んでいった。
「一松くんお腹空いてる?」
「別に」
「えーほんと?」
朝から何も食べてないんじゃ…と、野菜を切りながら思っていると、ぐぅぅーっとお腹の音がなった。
「………ちょ、ちょっと待っててね、すぐ作るから」
「笑うな腹立つ」
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