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くのいち ページ2

「いらっしゃーい」



鳳仙の時代は終わったと聞いていたが、吉原にはいまだたくさんの遊郭が残っている。

顔の良い神威はそんな女たちの格好の的。

どんなに綺麗な女の人に話しかけられようとも、神威は完全無視を決め込んでいるわけだが。



「・・興味ないわけ?」



興味本心で聞いてみれば神威は一瞬キョトンと首を傾げる。

そりゃ主語はないだろうけど、普通この状況で伝わらないか。



「さっきから、女の人全部無視じゃない」



そう問えば、一瞬驚いたように目を見開き、そしてにこりと笑みをこぼす。



「興味がないわけじゃないよ」



放たれた一言は少し意外なもの。

さっきからの様子を見れば全く興味がない物かと思えばそうでもないらしい。



「ここには上玉の地球の女は沢山いる。それこそ、Aよりも美人なね」



にっこり。

むかつくくらいの笑みを見せた神威に、腹立たしさと同時にズキンと胸が少し痛む。

その痛みに、見てみぬふりをかまし、「へェ」と適当な相槌を打てば神威は吹き出した。



「そんなに怒んないでよ」



一通り笑い通した後、神威は落ち着くためかフーッと息を漏らす。

そして、言葉を繋いだ。



「でも・・Aよりも上玉な女、ここにはいないよ」



いつものように放たれた言葉。

何十回、何百回と聞いて来た口説き文句である筈なのに、ドキンドキンと今更になって心臓は加速していく。



「何言ってんのよ、バカじゃないの?」

「素直じゃないね」



ポーカーフェイスを気取りつつも、徐々に体の底から熱が這い上がってくる。




「耳、赤いよ」

「もともとよ」



相変わらずの態度で答えれば、神威はまた鼻歌を漏らしながら機嫌よさげに、しかしそれ以上は何も言ってこなかったから、助かったのだと思う。

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神阿(プロフ) - shiyuさん» 楽しんでいただけたようでとっても嬉しいです!ありがとうございました! (2016年7月31日 21時) (レス) id: d25d67767d (このIDを非表示/違反報告)
shiyu(プロフ) - ダイヤモンド・プリンセスとこの作品を読ませていただきました!後評価もさせていただきました(^^) とってもとっても面白かったです…!! (2016年7月31日 2時) (レス) id: aae2baa091 (このIDを非表示/違反報告)
真昼(プロフ) - はい!いいご返事期待してます!頑張って下さいね!p(^_^)q (2016年5月6日 22時) (レス) id: 193a3f96c8 (このIDを非表示/違反報告)
神阿(プロフ) - 真昼さん» 検討させていただきますね!ありがとうございます! (2016年5月5日 22時) (レス) id: 3a209594c6 (このIDを非表示/違反報告)
真昼(プロフ) - 最終話?見ました!楽しかったです!その後が、気になります!続編書いて欲しいです! (2016年5月3日 11時) (レス) id: 193a3f96c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神阿 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kamiamatome/  
作成日時:2016年4月18日 20時

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