悪趣味【佐野万次郎】 ページ14
「うーん…」
何やら彼女は悩ましい表情を浮かべながらキッチンに立っていた
「やっぱ支えがないと不安だなぁ……」
脚立を出したはいいが1人で登ることに抵抗があった
「Aなにしてんの?」
洗面所に行く途中に彼女を見かけた彼は後ろから声をかけた
「あっ。万次郎」
彼女は振り返った
「棚の奥にある新しいティーカップを降ろそうと思って」
先日カトラリーを数点新調したばかりだった
「今日は午後からお友達が来るの」
彼女は友人を招いて自宅で女子会を開くつもりだ
ちなみに彼は午後から外出する予定であった
「あー。ヒナちゃんとエマだっけ?」
彼の口から出た人物名は長年付き合いのある後輩と義理の妹だった
「うん。新しいカトラリーを用意しようかなって思ったの」
せっかくなので来客用に新品のカトラリーを出す予定でいた
「それならオレが取って……」
言いかけた途中で彼はある事を思いついた
「いや…やっぱAに任せる」
一瞬自分がやろうと試みたが彼は彼女に任せると告げた
「オレが脚立支えるから」
落ちないようにちゃんと支えると言って彼は彼女をサポートするつもりでいた
そもそも2人はあまり身長差がなかった
「……もうちょい右だな」
小声で呟いた彼は少し体を傾けて前屈みになった
「Aが探してる皿の特徴ってどんなやつだ?」
脚立を支えながら彼は彼女に特徴を聞いた
「んと。この前買ったやつで…新しいお皿だよ」
彼女は手探りで棚を物色しながら答えた
「真っ白なお皿なんだけど…。コペンハーゲンのやつ……」
デンマークのラグジュアリーテーブルウェアを取り扱う高級ブランドで品揃えは豊富であった
「んー。白っつーか…オレの目の前は淡いピンクなんだけど」
どさくさに紛れて彼は彼女のスカートの中を覗いていた
「ピンク?確かに今日の下着はピンクだったけど…」
彼女は不思議に思いながら今日の自分の下着を思い出した
「って……えっ…?」
何か違和感に気づいた彼女は後ろを振り返った
「今日もかわいいパンツ履いてんな」
さらっと言った彼は親指を立てていた
彼にとってはラッキーすけべであった
「もう…。万次郎のえっち」
顔を赤らめながら彼女は彼を軽く睨んだ
「どこ見てんのよ……」
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作者名:おりたん | 作成日時:2023年2月19日 9時