六十三 ページ27
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「未来から来たって……え?」
全てを話し終えると中島さんがそう呟いた。未だに理解できていないようで、きょとんとしている賢治さんが無邪気な笑顔で「兎に角凄い人なんですね!」と云う。
「えーとね、幾つか質問してもいいかな?」
太宰さんが私から視線を外して後ろに控えている刀剣男士たちへ移す。
「彼らが刀剣って本当なのかい?」
「はい。なんなら今ここで刀に戻ってもらうことも可能ですよ」
平野が顕現を解除した。すると、其処に少年の姿はなく、短刀があった。床に落ちる直前に前田が拾い、私に渡す。
「……それ、平野藤四郎?」
今まで興味なさげだった乱歩さんが平野を指差す。そういえば自己紹介させていなかったなと思いつつ「そうです」と返事をした。
「ふぅん、現実味がないけれど本当の話なんだ」
「なっ……!?」
今までずっと疑いの目を向けていた国木田さんが乱歩さんを凝視する。
「本当、なのか……いや、然しこんなこと……けれど彼の乱歩さんが……」
ぶつぶつと呟きながら手帳を捲り始める。与謝野さんが気にしなくていいという風な表情を浮かべていたので話を再開した。
「で、霊力を注ぐと……」
刀が光り始める。このままだと私の膝の上に顕現することになるので隣の椅子に平野の本体を置くことにした。
光は段々強くなり、やがて人の形を帯びてくる。
「へぇ……」
太宰さんが感心の声をあげる。光が消え、其処には行儀よく座っている平野がいた。
「刀剣なのは本当のようだね。人の姿になる理由はよくわからないけれど……」
面白いと云う太宰さんを尻目に平野を見た。「刀の姿に戻ったのは久しぶりです」と照れ臭そうに笑っている。微笑み返していると谷崎さんが肩を叩いた。
「ええと、この子とあの子たちって服装が似てるよね……? 兄弟なのかな?」
どうやら平野や前田たちの服装が気になるようだ。次は刀派について説明するべきか。
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織川(プロフ) - カティさん» ありがとうございます!こちらでもよろしくお願いします! (2018年3月27日 12時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
カティ(プロフ) - 続編おめでとうございます! (2018年3月25日 18時) (レス) id: 0319e8dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - ななこさん» ありがとうございます!更新がんばりますね……! (2018年3月22日 20時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
ななこ - 続編おめでとうございます!新着確認したら見つけたのですぐに飛んできました!更新頑張ってください! (2018年3月22日 20時) (レス) id: d4cba68423 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:織川 | 作成日時:2018年3月22日 20時