31 ページ31
.
「ふん！ふん！ふん！」
ブンッ！ ブンッ！ ブンッ！
「ふん！ふん！ふん！」
ブンッ！ ブンッ！ ブンッ！
「ふん！ふん！ふ「何をなさっているのです！！姫様！！」―――ぎゃあ！！」
梅雨の時期。
雨の匂いが部屋の中までやってくる。
じめじめとした空気。
少し湿気を帯びた床が足にすいつく。
「背後からまな板投げるってどうなの！？」
「包丁よりはマシかと思いまして」
「死ぬわ！！」
「それより姫様、それはどういうことなのです」
「どういうことって、そういうことだよ」
誰もいない道場。
今はみんな、執務に大忙し。
「今の時間帯はね、みんな執務に忙しいから道場が空いてるの発見したんだ〜」
「嬉しそうですね。でも、駄目です」
「なにさ！鍛錬の何がいけないわけっ！？殿さまのために日々腕を磨いてるってのに！！」
「貴方に限って、そんなわけがないでしょう。また気晴らしですか？」
「あー、うん。外で走れないから」
「学芸の稽古をなさってください」
「嫁いでも稽古するの！？」
「貴方様はまだまだ未熟ですので」
「未熟ゆーな！！」
失礼だな、おい！
主に『未熟』言う！？
「さぁ、華道の稽古です」
「ちょっと待って。あと半刻」
「ちょっとじゃないでしょう、その時間は」
「ぶーぶー」
「ぶーぶー言わない」
問答無用で引っ張られた。
あぁ、せめて木刀を元に戻させて。
「姫様、いつになったら鍛錬をおやめになるのです」
「なんでやめる必要があるの」
「女子とは、男に守ってもらうものです。貴方様には毛利様がいらっしゃるでしょう」
「あの男が守ってくれると思う？…完全に盾にされるのがオチだね」
「姫様が鍛錬などするからです。それ以上、丈夫に育たないでください」
「えー、そうかな？そんなに筋肉ないと思うけど」
「女子として見えなくなりますよ」
「まじか」
「まじです」
なんて言ってる間に、部屋に戻された。
襖を開けた向こうには、いかにも厳しそうな老婆…げふんげふん。先生。
「どこへいらしていたのです」
「ちょっと野暮用に」
「大事な稽古に遅れて出るとは何事か！！」
怒鳴られた。
「怒られた」
「貴方様が悪いです。さぁ、そこへお座りください」
「はいはい」
「はいは一回」
「はーい」
「姫様？」
「すみません」
ちょこんと正座。
長たらしい老婆…げふんげふん。先生の話を聞いて、指導を受ける。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 9人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒のコ屋(プロフ) - START＊ANTEMISさん» コメントありがとうございます！5年ほど前の作品をリメイクしておりますので拙い文章ではございますが楽しんでいただければと思います！すでに30話ほど進んでるのに進展ないー！（笑）ここから頑張って二人の距離をエイエイ縮めてやりたいと思います！ (2022年4月28日 19時) (
レス) id: dbfae2dae8 (このIDを非表示/違反報告)
START＊ANTEMIS - 黒のコ屋さんはじめましてSTART＊ANTEMISと言います😺此方の作品を読ませて頂きましたが男勝りなヒロインは元就の所に嫁いで一月まだ進展が進む様子もないそうですが一体次回はどう展開していくのか！？ (2022年4月26日 16時) (レス) @page23 id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒のコ屋 | 作成日時：2022年4月1日 14時
