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「殿、Aの姫様が来ました」
「さっさと始めよ」
「はっ」
婚礼の儀。
上座には昨日ぶりに見た毛利元就の姿。
彼の右に座って、儀式が始まる。
それまで伏せていた顔もあげて、初めて周りを見渡す。
知った顔は一つだけ。城からここへ送ってくれた護衛隊長ただ一人。
それでも、不安に思わないのは
(宮…信じるからね)
きっと彼女の言葉を聞いたからだろう。
(よし、そうとなればこの男の好い所を探そう！)
ちらりと、彼の顔を見た。
ほ〜、やっぱり顔は格好いいわね。
っていうか、綺麗。
肌も白いし、いい切れ目。とても美人。
男であることがもったいないぐらい。
(なんだか言ってて自分が悲しくなってきた…)
じっとどこか正面を見ていた毛利元就が、私の視線に気づく。
向けられた横目に、そらすことなくむしろガン見してやる。
「…なんだ」
「あ、いやいや綺麗な顔だなって思っただけ」
「………………」
「え？照れてるの？」
「恥辱ぞ。黙れ」
(怖っ！睨まれた！！)
慌てて顔をそらす。
こっわー…。
何あれ。視線で人を石に変えるじゃない？
こっわー…。
「それでは、固めの儀を」
朱色の杯。
漆塗りが上出来だ。
少量の酒が入ったそれを、毛利元就が飲み干す。
今度は私か。
ううん…ちょっと飲んだトコずらそう。
(とりあえず彼の好い所一つ目は、綺麗な顔！)
目の前で注がれたそれを手に持ち、気づかれない程度で飲み口をずらす。
(ん？毛利元就がこっちを見た気がする)(………………)(やっぱり見てるっ！！)
ごくり
視線を感じるのは気のせいということにしておこう。
もしかしたら自意識過剰なのかもしれないし。(っていうか、そうであってほしい。)
飲み干した杯を置く。
簡単な固めの儀が終わった。
これから宴が始まる。
うちの護衛隊長も、終わった瞬間ホッとした顔をもらしたのが見えた。
(そんなに心配かこの野郎)
失礼な護衛隊長に若干いらっとしながらも、一つ気付いたことがあった。
キョロキョロと見渡して、その姿を探す。
でも、そんな感じの人たちが見つからなくて首をかしげる。
「何をしておる」
「(うわ、話しかけてきた！)…えーっと…ちょっと気になって」
「何だ」
「大したことじゃないから突っ込まないで」
間者かと思ったけど違うみたい。
…いや、でもこの気配はもしかして…。
(まさか。こんなところにA家の忍びがいるわけないか)
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黒のコ屋(プロフ) - START＊ANTEMISさん» コメントありがとうございます！5年ほど前の作品をリメイクしておりますので拙い文章ではございますが楽しんでいただければと思います！すでに30話ほど進んでるのに進展ないー！（笑）ここから頑張って二人の距離をエイエイ縮めてやりたいと思います！ (2022年4月28日 19時) (
レス) id: dbfae2dae8 (このIDを非表示/違反報告)
START＊ANTEMIS - 黒のコ屋さんはじめましてSTART＊ANTEMISと言います😺此方の作品を読ませて頂きましたが男勝りなヒロインは元就の所に嫁いで一月まだ進展が進む様子もないそうですが一体次回はどう展開していくのか！？ (2022年4月26日 16時) (レス) @page23 id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒のコ屋 | 作成日時：2022年4月1日 14時
