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「そんなに顔をしかめると痕になりますよ」
宮はそう簡単に笑うけど、私にすれば笑い事じゃない。
私にとってA家の価値って、同盟を結ぶための道具？
(あんなに頑張って強くなったのに)
私が男なら、そんな扱いしなかったはずだ。
立派にA家を守らせてくれたはずだ。
それが無性に腹立って仕方ない。
「宮…私は子供かな」
「えぇ、どうしようもないわがままな子ですよ」
「私がこの婚姻を断ったら…？」
「Aの領土が攻められるでしょうね。民が泣きますよ」
生を受けてこれまで、戦に遭わなかったわけではない。
この年ながら、いくつもの死を見てきた。
「…うまくやっていける気がしない」
「皆、最初はそうです。とにかく、毛利様の良いところを一つでも二つでも見つける努力をなさいませ。それでも、どうしても毛利様が自分を幸せにしてくれないと確信した時は、この宮に命じください。命かけて、貴女様をAの領地までお送りします」
宮は冗談を言わない。
凛とした表情、揺るがない瞳。
侍女としてはもったいないなと思っていたそれが、今自分に向けられている。
「…うん」
不思議と嫌気は消えていた。
一人くらい味方はいる。
そんな気がしたからだ。
「それより、その足はなんですか？」
「ぎくっ」
宮は私が裸足で庭に出ていることを指摘して、いつもの如くお母さんのようにお叱りを受けた。
「はぁ…もうお転婆はおしまいです。毛利家の妻になるのですから。…上がられる際は、ちゃんとこれで拭いてくださいね」
それでは、と後着したAの侍女たちに混じっていった。
こんな時間から荷ほどきか…大変だなぁ。
「というか、白無垢なんかで行かずに袴で馬に乗れば、もっと早くに着いたんじゃ…」
「何を言っておる」
「Σうおぅっ！！？」
いつの間にか背後に毛利元就がいるぅうう！！！
「な、ななななんでここにっ！？」
「部屋で大人しくしていろと言ったはずだが」
「あーいや、えーっと…ほら、あの…気分転換」
「ナメておるのか貴様」
斬首されそうな威圧感。
なんでこの人、いつもいきなり現れるの！？
「武家の姫が聞いてあきれるわ」
「………………」
「明日は朝から婚礼の式ぞ。寝不足で不細工な顔を見せるでない」
「………………」
「それと、裸足で庭を歩くな。歩くなら侍女でも呼べばよかろう」
偉そうに。
いや、実際偉いんろうけどさ。
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黒のコ屋(プロフ) - START＊ANTEMISさん» コメントありがとうございます！5年ほど前の作品をリメイクしておりますので拙い文章ではございますが楽しんでいただければと思います！すでに30話ほど進んでるのに進展ないー！（笑）ここから頑張って二人の距離をエイエイ縮めてやりたいと思います！ (2022年4月28日 19時) (
レス) id: dbfae2dae8 (このIDを非表示/違反報告)
START＊ANTEMIS - 黒のコ屋さんはじめましてSTART＊ANTEMISと言います😺此方の作品を読ませて頂きましたが男勝りなヒロインは元就の所に嫁いで一月まだ進展が進む様子もないそうですが一体次回はどう展開していくのか！？ (2022年4月26日 16時) (レス) @page23 id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒のコ屋 | 作成日時：2022年4月1日 14時
