脳はクラクラ、負才でバラバラ - オシオキ編 ページ49
☆
『魂で綴るレクイエム』
☆
突如として、この場に音楽が流れ始めた。なんだか寂し気で、物憂げな音楽は次第に音が大きくなっていく。
音楽が大きくなるにつれて洗脳でもされそうな不安感に駆られる。それと同時に、真っ赤な文字が壁に映った。
『時間内に誰もが認める歌詞を書き示せ！』
舞灰くんの元に降り注いだのは大量の紙と一本のペン。
彼は落ちてきたペンを拾い上げると、真剣な眼差しで紙に文字を綴り始めた。
……が、それも束の間。彼が急に焦ったような様子を見せる。
シャーペンの先を無心で連打している。
＿＿＿芯が切れたのだ。
そんな時、突如として天井がじわじわと下がってきた。
どうやら、時間制限とはこの天井が落ちきるまで……。
焦る彼の心境を表すかのように、天井はじわじわと彼の居場所を圧迫していく。
どうしよう、と焦る彼は予備のペンが無いか大量の紙の山を掻き分ける。
そして、何かを見つけたのか停止した。その表情は、ひどく曇っていた。
彼が紙の山から取り出したのは、カッターナイフだった。
咲「……！？」
彼は考える暇もなく、自分の腕を切りつけた。そこからサーっと血が流れる。その血液を使って、彼は必死に文字を書き続けた。彼は真っ白な紙をピンク色の文字で埋めていく。
「苦しい、辛い、痛い」そんな悲鳴のような文字の羅列がここらでも見て取れた。
それでも、足りない。
彼は、文字を書くために何度も自分の腕を切りつける。
＿＿＿もう、見ていられない。
蒼白な表情で自分を傷つけながら文字を書き続ける舞灰くん。
天井はすぐそこ。間に合いそうにない。
もう駄目だ。終わりなんだ。
私は目を背けようと、瞼を閉じかけた時だった。
パリーーーンッッ！！！！
硝子が砕け散る音。誰かが走りぬけていく足音。誰かの悲鳴。
驚いて目を開いた私の瞳に映ったのは、信じられない光景だった。
☆
咲「えっ……？」
割れたガラスに、天井の落ちていく空間に走り込む“彼”の姿。
咲「美宏、くん……？」
美宏くんは舞灰くんをひょいと抱え上げると、そのままこちらを目がけて駆け抜ける。
天井が落ちる。それと同時に彼らは硝子に囲まれた空間を脱出していた。
『ERROR！！オシオキ失敗！！ERROR！！』
壁に向かって点滅するホログラムの文字。
舞灰くんのオシオキは、＿＿＿失敗に終わったらしい。
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桜子(プロフ) - そなさん» コメントありがとうございます✨ここまで読んでいただけてとても嬉しいです！次週から裁判編へと突入していきますので、今後とも楽しんでいただけたら幸いです♪ (2023年3月25日 17時) (
レス) id: ec8bf151a4 (このIDを非表示/違反報告)
そな(プロフ) - この作品を知ってここまで一気読みしてしまいました…。すごく面白いです、これからも頑張ってください！ (2023年3月23日 22時) (レス) id: 8240083825 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おーすりー | 作成日時：2023年3月11日 9時
