十字架 ページ25
りんねside
熱く焦げるような松明の灯りが頬をかすめた。
がむしゃらに走り出そうとしたあたしは後ろから手を掴まれてしまう。
りんねなんでっ離して、あたし、いかなきゃっ」
あたしの手を掴んだのはお父様だった。
ぐっと、力強く握られて震えるように痛い。
なんで掴むの、行かせてくれないの。
なんであたしをみんなで守るの。
父「りんねだけは守りたい…解ってくれないか?」
痛いよ、痛い。
お父様の気持ちが伝わってきてどうしていいのかわからないよ。
お母様を失った気持ちが、深い悲しみが、
初めて見たその涙から伝わってくるよ。
ねぇ早くしないと手遅れになってしまうのよ。
そうしたらいくら泣いても無駄なのよ。
ねぇ気づいてくれないの。
お父様ごめんなさいでも解ってください。
ねぇ知ってるでしょうあなたなら。
「大好きな人を失う痛みがわかるでしょう ?」
もう後には引けないよ。
そっかこれがあたしの気持ち。
やっと気付いたなんていったら笑われちゃうよね。
口をついてでた言葉が確信させた。
あたしはお父様にむけた微笑みを送る。
はっとした表情から溶けていくように。
お父様は悲しげな笑顔をくれた。
そして
あたしの手を離した。
あたしは、もう振り返らない。
大好きなんだよ。
あたしはひとりの女の子としてね。
こんな気持ちは初めてだから。
うまく感じられたかったよ。
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寝る子(プロフ) - にゃんこへ 久しぶりです、覚えてますか?シャルラとかミラとかの人です。気づいてくれるかなぁ…… 小説、読んだよー! (2020年8月14日 13時) (レス) id: fadce6c5d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せいにゃん*すとろべりー | 作成日時:2018年8月13日 0時