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「まったく君って子は」
英智が呆れたようにそう言うと私は代わりに微笑みを向けた。
そしてまた英智のそばに戻り自分の荷物を少し整えると、今度はパイプ椅子に腰掛けカバンを膝の上に置いた。
「今日はちゃんと土産話もあるよ」
私はそう言いながらカバンの中から手帳とペンを取り出した。
「プロデュース科に来た新しい子のことかい？」
「やっぱり、気になってたんだ」
開けた手帳のページを意味もなくめくった。
「素直そうな子だったよ」
そう言って英智の顔を見つめると、その顔がオレンジ色の光に照らされていることに気づいた。
窓の方に目をやるともうすっかり夕焼け空だった。
私の目線に気づいたのか英智も合わせて窓の向こうへ目を向けた。
「もう、日が暮れてしまうんだね」
英智はぽつりと、そう呟いた。
「カーテン閉めようか」
私は手帳を閉じてもう一度立ち上がり、荷物を椅子の上に置いた。
私が歩くと革靴はこつこつと乾いた音を鳴らした。
窓に近づくと街の景色が一望できた。
夕焼けに照らされてとても綺麗で儚げに感じた。
「ねぇ」
窓の向こうの景色を見つめたまま、英智に話しかけた。
「フラワーフェス、ここからも見えるんだって」
「そうだね、見えるかもね」
「渉が言ってた」
「君たちは昔から仲がいいよね」
「そうでしょうか！
私は彼女に振られてばかりだったんですがねぇ？」
「え？」
私でも、英智でもない声が後ろから聞こえ、反射的に振り返った。
そこには自慢げに笑った渉が立っていた。
「それに私は、英智とも仲良くしたいのですよ」
「渉、来れたんだ」
「呼ばれましたので」
窓の向こうはもう日が沈み切っていた。
私はカーテンを掴むと静かに閉めた。
外が暗くなったというのに渉が来ただけで部屋が明るくなったように感じた。
さながら魔法のようだとても言うのだろうか。
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chika(プロフ) - もち明太さん» コメントありがとうございます！渉との関係性がとても重要なのでそう言って頂けてとても嬉しいです…！更新頑張ります！見守っていてくださると嬉しいです (2021年6月9日 0時) (
レス) id: f3305d13ec (このIDを非表示/違反報告)
もち明太(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。好きすぎてびっくりしました…渉が…渉が好みすぎて……。ご無理のない範囲で更新頑張ってください(*^^*)応援しております (2021年6月7日 23時) (レス) id: c849447eb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：chika | 作成日時：2020年10月24日 1時
