第七十二夜 波瀾万丈 ページ28
「只今戻りました」
神風が破壊した壁はボクの“狐火”の幻覚作用で隠し、元々いた部屋で待機していると目の前で分厚い鉄製の扉がガチャリと開かれた。
入ってきたのは化け猫姿の黒川さん。
「使命はこの通り、しかと働きましたわ」
ふふん、と右手に持った鍵束をチャラチャラ鳴らしながら胸を張る。
かなりの数の鍵だ。少なくともこの部屋の扉は開けられるっぽい。
「悪いな。で、そいつは一体何があったんだ」
「え？あぁ、この方ですか？」
「おぉ……引きずって来たせいで微妙に削れてしもとるがな」
そして黒川さんに首根っこを掴まれ引きずられている男。無論神風が言う「削れている」は半ば冗談である。『半ば』は。
「鍵束を引き抜いた際目を覚ましたらしく…逃げ回っていましたら
「運悪く……ねぇ」
白目を剥き、泡を吹いて倒れている男の顔には生々しい無数の引っ掻き傷。
お前もか。お前もなのか黒川さん。
人のこと言えないが妖族ってのは脳筋ばっかだな。
「ご心配なく、悲鳴は上げさせませんでした！」
「……」
ズレてる、すごいズレてる。
しかもその一言でさっきの「運悪く」ってのが嘘って丸わかりだぞ。
「…とにかく二人ともありがとう。ボクの体内時計が正しければそろそろ朝だから今日は引き上げよう」
「そうですわね。ところで神風さん、足の鎖はどうなさったのですか？」
「動きにくかったんで引きちぎりましたわ。あー、でもそれやとあいつらに怪しまれてまうな…白銀さんの妖力でなんとかなりません？」
「いや、無理だ」
…なんというか、フリーダムだな。
元には戻せないが、壁と同じように“狐火”でカモフラージュしておけばいいか。
脱出計画１日目は波瀾万丈で幕を閉じた。
御神籤の王子様 ver.氷帝
大凶らしいで？攻めるん遅いわ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 41人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ノア(プロフ) - けとるさん» 協力ありがとう( ^ω^ )３番だねー！ (2015年12月13日 14時) (
レス) id: 836babe48a (このIDを非表示/違反報告)
けとる(プロフ) - わし3がええ！ (2015年12月13日 10時) (レス) id: bfe4a96d52 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - リオンさん» うわぁぁぁ感想もありがとうございます！１番ですね！これからもご愛読よろしくです( ^ω^ ) (2015年12月13日 8時) (レス) id: 836babe48a (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - 楽しく読ませてもらっています。1番がいいです。英検、更新 頑張ってください。 (2015年12月13日 0時) (レス) id: cfd12bcb7b (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - こにーさん» ご協力ありがとうございます(=´∀｀)人(´∀｀=)３番ですね！ (2015年12月12日 17時) (レス) id: 836babe48a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ノア | 作成日時：2015年12月5日 14時
