2ー2 〜現代高校生パロ、幼馴染紅覇、続き〜 ページ15
孤児院育ちの僕と、お金持ち一家である練家の紅覇は幼馴染だ。
孤児院と練家はお隣さん同士で、窓からはいつも大きなお屋敷が目に入る。
今ではお隣さんの練家も、もとは違ったのだ。
練家はもともと孤児院から少し離れたところに建っていた。
幼少期から散歩ついでに通りかかったりしており、その度にどんな人が住んでるんだろうなって思ってた。
そんなある日のこと。
あれは孤児院のおばさんの買い物について行った帰り道だった。
お屋敷前を通る道を歩いていると、おばさんが知り合いの人と出会い長話を始めた。
退屈な僕は、1人で練家のお屋敷前まで行って、いつもの様に大きな門の前に佇んでそのお屋敷を見上げていた。
だけどあの日は少し違った風景が目に入った。
門の前には僕と同じくらいの身長で、桃色の髪をした子が立っていた。
『こんにちは』
『…』
『ぼくはAです。すこしだけはなれたところにある、こじいんにすんでます』
挨拶はちゃんとしなさい、との教えをちゃんと守る僕。に対して、目の前のその子はこちらをじっと見つめるだけだった。
『ぼく、お前のこと知ってる』
『え?』
不意にその子が口を開いた。
『ほとんど毎日、ここから僕の家見てるだろ』
『うん…』
『なんで?』
表情に変化のないその子と話すのは、少しだけ怖かった。言い方もちょっとキツかったし、あまり人が好きじゃないのかなって思ったりもした。
『おおきいから…』
『それだけ?』
『どんなひとが、いるのかなって…。ごめんなさい…』
何かとてつもなく悪いことをしてしまった気持ちになり、その時その子に謝ったのを今でも覚えている。
『おまえ、友達は?』
『すこしだけ』
実際、友達は幼稚園の子数人だけだった。
その時、庭からお世話係の人がその子を探しに来て家の中に戻るよう、勝手に抜け出さないよう言って、その子の背中を押していった。
遠くなるその子を見ていると、ふいにその子が振り返り目が合う。
『と…に、なっ…うか』
『え?』
『だ〜か〜ら〜、この僕がおまえの数少ない友達になってあげようかって言ってるの!』
急なことに反応が追いつかず、呆然と立ち尽くす僕に、さらにその子が声をかける。
『で、返事は?』
『えっと、』
『まぁ、この僕が友達になってあげるって言ってるんだから。もちろんいいよね。てことでじゃあねA〜』
ひらひら手を振りながら、名前も知らないその子は家の中に入っていった。
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凛 - 更新ありがとうございます (2022年8月20日 11時) (レス) @page26 id: 9cf2b69289 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - 更新されてる…ありがとうございますありがとうございます……ヒェ… (2022年5月8日 3時) (レス) @page24 id: db51d70f74 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - しののさん» コメント感謝です。長い間停止していたので見てくださる方も少ないと思っていたのですごく嬉しいです、ありがとうございます! (2021年3月3日 21時) (レス) id: efbd3140cf (このIDを非表示/違反報告)
しのの(プロフ) - 更新ありがとうございます...!!ソロモン大好きなので嬉しいです!生きる活力になります...。 (2021年3月3日 21時) (レス) id: b0110b8174 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - 凛さん» コメント感謝です、今後ともよろしくして頂けると嬉しいです! (2021年2月19日 21時) (レス) id: dd11559b15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千年彗星 | 作成日時:2017年8月3日 13時