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夜が明け、それは唐突だった。
「世界に大きな変動があった。今すぐにでも戻らないといけない」
寝起きの僕らに突如告げられたのは、彼のそんな言葉だった。
「お前らには悪いが、一刻を争うんだ」
彼のそんな様子から只事ではないのが見て取れる。
「そこで提案なんだがA。お前も一緒に来ないか」
大変なんだな〜とかぼんやり考えていた僕の頭の中にそんなお誘いの言葉。
「お前が来てくれれば俺も退屈じゃなくなる。お前も危険な事から身を引ける、どうだ?」
なんとも一石二鳥なその提案に思わず頷きそうになる。
だめだめ!
危うくソロモンの雰囲気に流されるところだった…。
そっ…と、隣に立つユナンの顔を盗み見るが。
いつものつばの広い帽子が死角になって、どんな表情なのか分からなかった。
「んー、そのお誘い嬉しいんだけどさ」
「…」
「僕はまだいいかな〜」
へへっと思わず笑ってしまう。
「僕、案外この世界気に入っちゃってるんだよね〜。なんやかんやでユナンと一緒は楽しいしもう少しユナンとバカやって過ごすのもありかなって!!」
そんな僕の言葉に、隣からふっ…と笑う声が聞こえて。
ユナンの方を見てみたけど変わらなその立ち振る舞いに、気の所為だったかなと思った。
そんななか、アラジンがソロモンの耳元で何やら言っている。
「ソロモン王、お姉さんに振られるのはこれで何度目だい?」
「おいこいつ本当に俺の子か?生意気すぎるぞ」
そんな事を大声で言うソロモン。
「え、生意気だって?じゃあ間違いなく君の子だよ」
自覚がなかったんだね。
言っとくけど君も僕からしたらなかなかの生意気っぷりだったぞ。
そんな空気を正すようにはぁ…と溜息をつく君。
「じゃあ俺はそろそろ行くからな。お前らも気をつけろ、世界の変動はいつ襲いかかってくるか分からん」
そんな忠告を言い残して、彼は峡谷を去って行った。
「行っちゃったね」
残りの2日をすっ飛ばし帰ってしまったソロモン。ちょっとだけ寂しさを感じる。
「また来るかな〜?来るならいつくらいかな〜?そしたら次は何しようかな〜、どんなご飯を作ろうかな〜」
「1人で妄想膨らますのはいいけどもう少し静かにできないの…?」
「妄想じゃなく想像とお呼び!!」
なんて当たり前の日常を。
紅茶を飲みながら今日も送る。
「ユナンお兄さん」
「なんだい?」
「今回はお兄さんの嫉妬がたくさん見れて楽しかったよ」
「さぁ…、何のことかな」
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凛 - 更新ありがとうございます (2022年8月20日 11時) (レス) @page26 id: 9cf2b69289 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - 更新されてる…ありがとうございますありがとうございます……ヒェ… (2022年5月8日 3時) (レス) @page24 id: db51d70f74 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - しののさん» コメント感謝です。長い間停止していたので見てくださる方も少ないと思っていたのですごく嬉しいです、ありがとうございます! (2021年3月3日 21時) (レス) id: efbd3140cf (このIDを非表示/違反報告)
しのの(プロフ) - 更新ありがとうございます...!!ソロモン大好きなので嬉しいです!生きる活力になります...。 (2021年3月3日 21時) (レス) id: b0110b8174 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - 凛さん» コメント感謝です、今後ともよろしくして頂けると嬉しいです! (2021年2月19日 21時) (レス) id: dd11559b15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千年彗星 | 作成日時:2017年8月3日 13時