【マギ】神出鬼没なマギ4.〜アルマトラン編.後編〜

第159夜 過去から学びなさい ページ12

彼の話を聞いた後、僕等を静寂が包み込んだ。


そのことに関して、誰も何も言わないのは。
きっと…。



「月の王様って、レイメスさんのことですよね?」


きっと…。


「太陽の王様が、ダビデ老…」


きっとその王様が誰か、気づいているからで。


レイメスは、どんなに辛くても笑って過ごす強い人で。大切な友達に裏切られてもなお、立ち上がり前を向いて歩んでいっている。


「僕はね、どちらも王様に向いてると思うんだよね〜」


2人とも強くて、人を引っ張っていける力がある。


「まぁ、その力の使い方はバラバラだけどね」

「でも、私は強くて優しいレイメスさんの方が好きですよ〜」

「僕も好きだね〜。でも、彼が泣いてるところを見たことないんだよね…」


僕等の養生を手伝ってくれた彼は、ほんの少しだけ身の内を話してくれた。


大切な、守りたい友達と喧嘩してぎくしゃくしているんだ。

どうやったら仲直りできるかな、それ以前に俺も何かもっとマシな行動しとけばよかったのかもな…とか。



まぁ、実名は出さず遠回しにだったけれど。



「そういうA様も!! いっつもバカみたいに笑ってるじゃないですか」


いやいや、待て。
バカみたいにって何だ。


「泣いちまった方が楽なこともあるんですよ〜?」


そしてまた頬をつんつんし始める彼。

そんなにつんつんして楽しいのか!?
あ、やめなさい。つんつんからビヨーンて伸ばすのやめなさい!!

そんな彼の手を掴み下ろす。






「僕が泣く時は、死ぬほど嬉しかった時と、死ぬほど悲しかった時だけって決めてるの!」








その言葉にきょとんとする皆。
そして次の瞬間…。


「あははは!! それ、レイメスさんも言ってましたよ」

「ほんと、顔立ちから性格まで似てるんですね〜」



人が恥ずかしさを忍んで言い放った事に対して笑い出す6人。



「じゃあじゃあ。5年間意識不明から目覚めて、私たちの前で泣いたのは。死ぬほど嬉しかったからなんですか?」


ニヤニヤするな!! まったくもう。すぐ人の事をからかいだすんだから。


「はいはい、そうですよーー!!」


そう言ったと同時に、凄い勢いで抱きつかれ。



「私達もですよ」


なんて、可愛らしい笑顔で言われてしまう。



赤獅子のもとを発つ前夜。


『歴史は繰り返すし、過去は変えられない。だが、過去から学び未来は変えることができるんだ』



レイメスが言った言葉が頭を過る。


…。



帰ったら。
ソロモンと仲直りしようかな…。

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