恋してしまった、その瞬間…【赤司征十郎】

２２seconds・ラブレター ページ22

征十郎side



翌朝…





土浦「征十郎様、おはようございます」

『おはよう』

土浦「お加減は如何でしょうか？」

『点滴と注射が効いたみたいだ。体調は万全だよ』

土浦「日野様がお見舞いに来てくれましたしね」

『！？』

土浦「征十郎様のガールフレンドですか？」

『フッ…残念ながら違うな』

土浦「少し雰囲気が、奥様に似てらっしゃいました」

『そうか…』

土浦「春が…訪れることを心から願っております」

『土浦！？』





幼少から世話になっているせいか、全て見抜かれている。



ここは至って、冷静に構えていよう。





昨夜は熱の勢いで、彼女に言わなくてもいい話をしたかもしれない。



でも、結果的に本音を聞けてよかった。





最後に彼女が言った、『もう一度よく考えてみる』。



【もう一度】とは、小太郎を諦めない可能性があるということ。



俺にとっては悲報で、益々窮地に追い込んでる気がする。



しかし…
今は日野さんの気持ちが楽になれば、それでいいかな。





最近、朝から彼女の顔が浮かぶ。



気持ちを抑えられるのも、それそろ限界か？



小さく溜め息をついて、学校へ向かった。





果子「おはよう、赤司君」

『おはよう。昨日はすまなかったね』

果子「ううん。もう平気なの？」

『あぁ、お陰様で』





体育館に直行すると、準備中の水山さんと日野さんの姿。



心配そうな面持ちで聞いてくる。





『おはよう』

『おはよう…昨日はありがとう』





彼女には耳元で囁くように話す。



水山さんに怪しまれるのが、面倒だと思ったからだ。





その時…





女「あ、あのっ…赤司君！」

『…？』





体育館の入口で、モジモジさせて俺を呼ぶ女子。



何の用か近付きに行った。





『これから、朝練なんだけど…何だい？』

女「！？ごめんなさい！す、すぐ終わらせるから…」





首を傾げて様子を伺うと、目の前に出されたのは一通の手紙。





女「赤司君に読んで欲しいの」

『…すまない。手紙を貰っても…女「用はそれだけ！失礼しました！！」





話をするも遮られてしまい、胸に手紙を押し当てられる。



正直、困るな…





果子「瞬く間の出来事だったね…」

『手紙って、可愛らしいな』

『！？』





しまった！？



一部始終見られてた…



弁解も言い訳もない。





何より、君の笑顔に胸が少し痛んだ。



微塵も嫉妬が伺えなかったから…

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