一筆に愛の目印を -朔間凛月- (ページ3)

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「(デート・・・か・・・)」

帰り道を、1人ゆっくり歩く。

いつの間にか外はもう真っ暗で、街灯の明かりが道を照らしている。

もう外は肌寒く、息を吐けば白く濁った。

手をポケットに入れて、思い出す。

“検査の結果は順調”

誰だってその一言を聞けば、ほっと安心するのが大体だろう。

───でもAは嘘をついた。

本当は順調なんかではなかった。
この前先生にひっそりと言われたのだ。

「もう、彼女は手遅れに近い」

そう、言われた。

もちろん心のどこかでそんなことは勘づいていたし、分かりきっている事だった。

Aは無理をしている。

俺に迷惑をかけないよう、わざと順調だというふうに言ってみせている。

そのことも、先生から教えてもらった。

ムカついた。何も出来ない無力な自分に。
どうすることもできない愚かさに。

でも、少しでもAの心が軽くなってほしいから。だから俺は、今の自分に出来ることを精一杯考えてみようと思った。