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石田三成/たとえるなら、私たち(ナッコ様リク) ページ7

「チューして下さい。」
「噤め」
「じゃあギュウでもいいです」
「戯れるな」
「もーなんでですか」
「忙しい」
私のちょっとした野望は、先方の都合で簡単に潰えた。
ただ一言猖擦靴ぁ匹箸いΑ∋以源の言葉で。

もう、この人は。
恋人に対して冷たすぎはしないだろうか。
ほら、よくある城下の町娘と庄屋の倅との初々しい感じのお付き合いがしたいわけだよ。
ま、この人にそんなことをお願いしたって無意味だとは分かっちゃいたけどね。
其れでも好きになっちゃったのはわたしだし。
と、わかってはいるのだが、どうにも切ないわけだよ、これが。
例えるならば、若武者への恋心を隠しながら今日もお仕えする女中、のような。

部屋にうずくまりながら三成の仕事ぶりを眺める。
いっつもだ。Aはおもった。
武家の姫君というのは、特にすることがないため、ここに来る。
でもここでもすることはないため、時々お茶を淹れるとき以外は、こうして部屋の端で丸まっているだけだ。
此方を時々見てくれることも、戯れに頭を撫でてくれる、なんてこともない。

―――本当に…
私のことは好きでいてくれているのかしら。
一度、抱きすくめられたきり、彼からは何の動きもない。
そういう人ではないと分かってはいるが、どうにも不安だ。
と、その時、視界が暗くなる。
ぐい、と大きく首を挙げると、三成様の端正なお顔に見下ろされていた。
「ど、どうしましたでしょうか……?せ、政務は…」
「刹那に終わらせた。」
あ、ヤバい。溶ける。
へにゃりとニヤけたまま、
「じゃあ、お団子食べたいです」
「甘いものは好かん」
え!じゃあ何で誘ったの!いや、誘ってなかったのか!?
くるりと踵を返した三成様のぶっきらぼうな返答に、真顔に変わる。
「だが、生憎私も、貴様の淹れた不味い茶に飽き飽きしていたところだ」
「刹那に準備しろ」
ああ、溶けた。

三成様と食べたお団子は、甘くて幸せの味がした。
隣に座る、険しい顔をして通行人を睨む彼の目尻が、一刷毛紅く染まっていたのはご愛敬だ。
「A」
帰り際、門番の目も憚らず口づけを落としてきた彼の、耳を真っ赤にした後ろ姿と、唇に残る柔らかな感触が、私の不安を、いとも簡単に拭い去っていった。

真田幸村/その迅きこと風の如く→←大谷吉継/キズナ



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設定タグ:戦国BASARA , 恋愛 , 小石の方   
作品ジャンル:恋愛
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希望(プロフ) - 失礼します!リクエスト、させて下さい!良かったらですが、政宗様のお話をリクエストしたくて…学バサの方でリクエストしてもよろしいですか!!? (2017年6月8日 19時) (レス) id: f217a178dd (このIDを非表示/違反報告)
椿(小石の方)(プロフ) - 舞姫さん» はい!了解です。前の黒丸様と順番がゴチャゴチャになってしまうかもしれないのでご了承下さい。 (2017年4月1日 12時) (レス) id: 2a1e88c7e9 (このIDを非表示/違反報告)
舞姫 - リクエストでーす!えっと……竹中半兵衛様。明智光秀様を、出来たらでいいので、お願いしま~す。 (2017年3月25日 10時) (レス) id: f50ff2d6e1 (このIDを非表示/違反報告)
椿(小石の方)(プロフ) - はい!返信遅くなり申し訳ございません!別々で作らせていただきます。何かあればまた仰ってください (2017年3月23日 0時) (レス) id: 2a1e88c7e9 (このIDを非表示/違反報告)
黒丸 - リク良いでしょうか。弁丸、梵天丸、アニキお願い致します。 (2017年3月19日 22時) (レス) id: 892b25096f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:椿(小石の方) x他1人 | 作成日時:2016年6月27日 18時

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