2. ページ6
.
スーパーを出たAは片手に持ったものを見て、一袋で済んだ、と安堵の息をつく。
外はもう真っ暗で、スーパーの電気が眩しいくらいだった。
しばらく歩いてもうすぐ駅の前だと思っていると、Aはある異変に気付く。
周りに誰1人いないのだ。
確かにスーパーや駅の近くに比べれば人通りは少ないが、それにしても誰もいない。
ーーー何かがおかしい。
Aはここに来てもう3年が経つ自分自身に問いかけた。
己は今どこにいるのだろうか、と。
怪訝そうに眉をひそめ、Aは立ち止まってその場で一回転する。
見えた景色の中に池を見つけた。
もちろんAにとって見覚えのない池だ。
周りには木々がゴワゴワと茂っており手入れされていないのがうかがえる。
それがまたその場の不気味な雰囲気を醸し出していた。
Aは吸い寄せられるようにその池にゆっくりと近づく。
制カバンを肩にかけ、スーパーの袋を持ち直し、中を覗き込んだ。
ーーー別にこれと言って何も無い。
そう、池自体は何のは何の変哲も無いただの池だ。
Aはしばらく何か起きないかとじっとしていたが、やがて諦め、踵を返し池に背を向けた。
刹那。
「おいてけぇ、おいてけぇ」
禍々しい"何か"を感じAは反射の勢いで池に向き直る。
Aが感じた"何か"が何なのかAは説明できなかった。
ぞっとする恐怖が背中を駆け上がっていく感覚。
Aはもしこの世に物の怪がいるとしたらそれのような生き物を視界に捉えた。
古びたボロボロの着物をゆるーく着た、つぎはぎだらけの老人。
正気の感じられない瞳をAに向け、ニタニタ笑いながら池の上に浮いている。
Aはここで気絶しなかった自分を褒めたかった。
信じられなかったのである。
とうてい人間とは思えない生物が重力に逆らってプカプカ浮いているこの現実を。
「おいてけぇ、おいてけぇ、去るならおいてけぇ〜」
Aは顔を引きつらせながら足を引きずって後退りする。
A「置いてけ？な…にを？」
「そうだねぇ、あんたが大事そうにしてるもん何か…」
その老人はキヒヒ、と不気味な笑い声を漏らした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ピエロタ(プロフ) - とても面白いです！ぬら孫大好きで拝見させていただきました（笑）これからも頑張ってください！ (2018年4月23日 17時) (
レス) id: aeaffe1cd4 (このIDを非表示/違反報告)
桜蝶姫(プロフ) - めっちゃドキドキして見てます！次が楽しみすぎて更新の通知が来るごとに心が喜びの舞を舞います！w更新楽しみにして待ってます！頑張ってくださいね！ (2018年4月3日 16時) (レス) id: 7661e16b5d (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 次どうなるんだろうと思って進もうとしたら終わっていて、うわぁー!!ってなりました(笑)気になります！更新待ってます！頑張ってください！ (2018年4月1日 19時) (レス) id: 3d5bc7771c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：moon | 作成日時：2017年3月31日 22時
