彼が怒っている理由とは ページ7
兇悪な目と、冷たい目に晒されながら谷崎は助けを求めるように国木田に視線をやる。
「…はぁ」
呆れたような、それでいて高圧的なため息が少女の口から漏れ、谷崎と国木田は肩をビクリと揺らす。
谷崎は目だけで伝えた、この二人は滅茶苦茶怒っている、これから殺されるのではないかと。
国木田は谷崎に伝える、これも必要なことだった新人二人に殺される訳ない、
あと、怒りを向けられているのはお前であって俺ではないと。
谷崎は思った「他人事みたいな顔しましたね」と。
「ねぇ」
突然、少女が低い声でそう云うので谷崎は飛び上がった。
「ヒッ、はい！！」
「あ、ごめんなさい貴方じゃなくて」
少女はギロリと青年の方を向き、ため息をついた。
「いつまでそんな顔で黙ってるつもり？」
いや、君も結構怖い顔で黙ってたけどね、むしろ君の方が迫力あったけど。
という台詞は命の為に飲み込んだ。
少女の言葉を受けた青年は、漸く口を開く。
「許せぬ」
少女よりも低い、地の底を這うような声に国木田と谷崎は椅子から少し腰が開いた。
「そこなる人質役の少女は、貴君の実妹とか」
「え？あぁ、うん…妹のナオミです」
青年は無表情のまま、コップの水を一口飲む。
少女がナオミをじっと見つめた。
「妹は、大事にすべきだ」
「…散々黙って、それか…」
「なんだ小泉、何か文句でもあるか」
「八分二十三秒も黙ってた時間はなんだったんだ」
「数えるな」
目の前の光景に、谷崎は口をポカンと開ける。
「…え？あ、ひょっとして…ボクが人質役のナオミを粗雑に扱ったから、
機嫌が悪かったの？それだけ？」
芥川は小さく頷く。
ナオミがあらあらと微笑んだ。
「そうなんですの？でしたら心配には及びませんわ、新人さん。
私と兄様は、ほら、こんなに仲良しですもの」
ナオミが、谷崎の鎖骨に頬を擦りつけた。
明らかに危ない光景に、少女がゴホッとむせる。
「そうか、ならば重畳。僕の早合点だ」
「…あれを見て、何か思わないの」
「なにがだ」
「…いや、なにも」
少女はなにか云いたげに目をそらした。
青年の新人は近くを通った女給に注文をする。
「僕には汁粉と焙じ茶を頂けるか」
「私は珈琲のお代わりを」
漸く、空気が解けた気がした。
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もこすけ(プロフ) - ちょこれーとさん» コメントありがとうございます。続編が出ましたので、そちらも宜しくお願いします。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2019年11月9日 21時) (
レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 今日めっちゃ更新多くて嬉しいです！！！ (2019年11月9日 20時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - azukiさん» コメントありがとうございます。一回目、そして二回目は…。今後の展開にご期待ください。読んでくださりありがとうございました。 (2019年11月4日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
azuki(プロフ) - 本当の笑顔…今回が一回目で、二回目は……あー！この後の展開が楽しみすぎます！これからも頑張ってください！ (2019年11月4日 8時) (レス) id: 2de50b2480 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - にゃんこさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます。そんな風に言ってもらえて嬉しいです。今後も頑張る力が出ました。これからも応援よろしくお願いします。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2019年10月14日 18時
