スピーチをする私 ページ50
｢…♪｣
｢…｣
守沢くんはわくわくした表情で、瀬名くんや羽風くんは今までのことを思い出してるようなぼんやりした表情で
スピーチをするお嬢様に目を向けた
｢入学当初、私は普通科の生徒でした。プロデュース経験のある私に目をつけた先生、見る目があると思いました。｣
｢(上から…？)｣
｢私はこの学び舎で、とても多くの経験をしました。｣
｢虹を見たくて屋上から水を撒いたり、目を瞑りながら円盤投げをして窓ガラスを割っては、先生に追いかけ回され…｣
美しい声と表情に脳が追いつかない…
｢新しい友達としゃぼん玉で教室をいっぱいにしたり、何でもない日に飾り付けをしてサプライズもしました…♪｣
｢(知らないぞそれ…)｣
｢たまに、衝突することもありました。今となっては親友にまでのし上がりましたね。｣
たまに、日本語が…変だ
｢(…ん？親友？)｣
｢人の涙に触れることもあり、拭えない未来への不安に足をすくませる者もいました。｣
｢…｣
良い話かと思ったら、違った
A組だけ明らかに震えてる…
｢んふっ…！くっ…！｣
｢…っ♪｣
｢(全然泣ける話じゃなかった…)｣
｢そんなふざけた生徒たちが、よく卒業できたなと…心から感動しております♪｣
後で締められるな、これ…
｢突然ですが、皆さんは不安じゃない未来を知っていますか？｣
｢…｣
｢私は知っています。答えはありません。｣
｢ないのかよ…｣
先生がつっこむのか…
まぁお嬢様が今持ってる紙は白紙だからな
｢私はずっと、拭えない未来の不安に…怯えていました。｣
｢(ん…？お嬢様なのか？)｣
｢最後に一言、心から愛した彼を育ててくれたこの学び舎に。｣
いや、違う…
｢誰だ！？｣
｢私は今、とても幸せだ…♪｣
続く
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作者名：なな | 作成日時：2024年3月23日 17時
