よし、服変えよう ページ44
｢そういう訳だから、たまに同行してくれ｣
｢…｣
｢ん？今頷いてなかったか？｣
｢イエスマンに育て上げられちゃったもので…しくしく｣
フォローしてくれるのは有難いが…まぁ、うん
そんな危ない場所に行かせるなよって言いたいところだが、自分がそばにいられるなら話は別だ
熱湯だろうが極寒だろうが、お嬢様を守りきれる自信がある
｢それと、さっきの話だ。その服じゃもろに自分が海外のマフィアですって言ってるようなもんだろ。できればやめさせてくれ｣
｢…でも、この服気に入ってると思うんですよね〜？｣
確かに一年中スーツだったが
それは単純にスーツを着ると引き締まるからだ
一番気慣れているものを着ているだけ
｢着慣れてるんですって〜。なら、私はそのままで良いと思いますよ〜♪｣
｢いやいや…もしバレたらどうするんだ…って、よく分かったな｣
｢何となく分かりますよ〜？だって、一緒にいますもん…♪｣
｢…｣
よし、服変えよう←
この人の為なら全裸で道も歩いてやれる
｢えっ、変えるの！？なんで！？良いの！？｣
｢…まぁ、これで一応安心だな｣
｢私の考え違ったの！？ねえタマくん〜！？｣
｢多分合ってたからだと思うぞ…｣
｢どういうことですか！？｣
自分は特に面白い存在でもないし、むしろお嬢様にとって目障りだろう
自分はただ、お嬢様の幸せだけを…
この方の夢を、野望を叶える手伝いが出来たら空気で良い
｢そのカリスマ性は何なんだほんとに…｣
｢わたしカリスマ性死ぬほどないですよ〜？｣
そんな感じで向かった服屋で、自分は日本に来て初めて私服を手に入れた
日本語を話していたあの男も、こんな服を着ていたな…
まるで育てられる側から、育てる側になったようだ
…いや
｢わぁ…！！すっごい似合ってるよ〜！やだ、この筋肉好き〜♪｣
｢(自分はもう、とっくの昔から育てる側なんだろうな)｣
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作者名：なな | 作成日時：2024年3月23日 17時
