この方の為に生涯を捧げたい ページ26
｢そっか！それじゃあ、4月楽しみにする〜♪｣
｢受験勉強は順調だろうな｣
｢えっ！？う、うん…じゅんちょ〜だよ…｣
｢ふっ、露骨に目を逸らすんじゃねぇ｣
声が聞こえる
目が見えない、いや、暗いのか
動こうとすると、手枷が音を立てた
｢あっ！タマくん起きた〜！よかったあぁ…｣
｢勘違いしてそうだから言っておくが。こいつが頭おかしいんじゃねぇぞ。ケジメを知っているだけだ｣
｢ええ、十分に理解しております｣
｢…？｣
｢お嬢様。神からの伝言です｣
その言葉を口にすると、お嬢様は動揺の色を見せた
自分の知っている神とはかけ離れた、悪魔のような伝言だ
｢…そっか。ありがと〜ね♪｣
｢それでも、お嬢様は諦めないのですか｣
｢お、おい、口を慎め…！｣
｢もちろん！｣
そうか
お嬢様は、何一つとして変わっていないんだ
俺が尊敬していたのは"これ"が理由だったのか…
｢叶わない夢があるなら、人生一生飽きなくてむしろ良いじゃん♪｣
｢…｣
｢死ぬほどポジティブだ…｣
｢えへへ〜♪｣
本当に、凄いな
殺人鬼だろうが犯罪者だろうが、正しい愛さえあればここまで人を正しく導けるのか
｢(歪んでいようが、道を外した外道だろうが、"これ"さえあればいくらでも良い方向に持っていけるものなのか…)｣
凄い
マフィアのボスと訳ありの一般人から、ここまで純粋で真っ直ぐな子が産まれてくるなんて、誰が想像した？
神にまで愛された存在
｢お嬢様の、下僕にさせて下さい｣
｢へ？｣
｢あ、頭いっちまって正気じゃなくなったのか？｣
｢いいや、凄く冷静だ。その上で頼んでいる｣
顔を上げて、お嬢様の様子を伺うと困り顔でボスの方へ視線を向けていた
この方の為に生涯を捧げたい
｢元々それがてめえの仕事みたいなもんだっただろうが｣
｢…！！ありがとうございますっ…！｣
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作者名：なな | 作成日時：2024年3月23日 17時
