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蟠り ページ44

刺し貫かれた左腕をダランと垂らしながら京助は刀を拾った。
腕を伝い、指先からポタポタと滴る赤い血を見る限り、京助には治癒能力はないらしい。
風間達の様な鬼と京助の様な鬼。
同じ『鬼』でも、その性質は随分違うようだ。

京助「やられたよ、沖田総司。
君が来るのは予想外だったよ。」

沖田は不意に、以前の事を思い出した。
柳の下で沖田が羅刹を斬り殺した時、その一部始終を京助は見ていたのだ。
そして、言葉を交わした。


『悲しそうだな。
本心の奥の奥で、嘘ばかりついてる。』

『君の心が勝手に俺に言ったんだ。』


その事を思い出しながら沖田は不意に口角を上げた。

沖田「そうだろうね。
だって、心の蟠りが消えたんだから。」

京助は暫し探るように沖田を見つめていたが、不意にAへと視線を変えた。

京助「お前が言う『事情が変わった』ってのは、こういう意味か?
『近藤勇への憎しみが、沖田総司への愛おしさへ変わった』と。」

貴女「・・そうかも知れませんね。」

恍惚的な笑みで微笑むと、彼は京助にそう告げた。
そして、続けざまに、

貴女「それでも、貴方に助けてもらった事は感謝しています。
だから、これ以上貴方と戦うのは本意ではありません。」

と、低い声で先程とは打って変わった声音で呟いた。

貴女「でも、貴方が総司君に害をなすならば、」

私は・・

貴女「私は京助さんを斬ります。」

京助「・・・。」


バンッ!!


貴女「!?」

突然目の前に振って来た銃弾にAと沖田は数歩退いた。
音の元を探ると、原田と対峙していた不知火が民家の屋根の上で銃を構えていた。

不知火「フラれちまったなァ、京助。
長い間仕込んできたはずなのに、これじゃ今までの事が無駄だったみてぇだ。」

京助「あぁ・・」

京助は負傷した腕を庇いながら不知火のいる位置まで下がると、悪寒の走る様な冷たい眼差しでこちらを見下ろした。

京助「飼い犬に手を噛まれた様な気分だよ。
お前に千里眼の使い方を教えたのは失敗だった。」

京助と不知火を見、そして己の背後で戦っていた新選組や薩摩の輩、そして御陵衛士の残党を見た。
大方、決着はついてきているらしい。
新選組が優勢なのを確認すると、もう一度京助達へ視線を向けた。
だが、その直後、

衛士「伊東先生の仇!!」

千鶴「きゃあああ!!」

千鶴の悲鳴にAはもう一度振り向いたのだった。

視線→←翡翠



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岬鬼(プロフ) - 白夜さん» 白夜さん>なんだか、私のところで言う「エライ」に似てますね〜^^ 私のところも「エライすごい」で「とてもすごい」って意味になるんですよ〜 1mも積もる雪なんてお目にかかった事がないですよ! それだけ積もると、ちょっと怖いですね (2015年3月3日 19時) (レス) id: 6217ec00b2 (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - 姫百合さん» 姫百合さん>なかなか心の内を話さない主人公なので、ここまでくるのもなかなか大変でした(笑) 試練も二人で乗り越えてくれると信じてます!← なんにしろ、ここから最終章までが踏ん張りどころですね〜^^ (2015年3月3日 19時) (レス) id: 6217ec00b2 (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - 岬鬼さん» 「なまら」は確か[とても]という感じの意味だったと思うので「なまらスゴい」(とてもスゴい)という感じに… 私も行っててみたいものですw それくらいは積もるんじゃないですかね 私の家の庭は雪が積もっても放置しているのでいっつもスゴいことになっているんです;; (2015年3月3日 1時) (レス) id: dcc2cda9a3 (このIDを非表示/違反報告)
姫百合 - 何だかほんまにどんどん甘くなってきましたね〜^^試練があっても、二人なら乗り越えられるはずですよ♪← (2015年2月23日 12時) (レス) id: baac39ec53 (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - 白夜さん» 白夜さん>いえいえ、テストお疲れ様です^^ 「なまら」は聞いたことありますよ!使い方は分かりませんが汗 そうなんですか!でも、一度は雪まつり行ってみたいです^^ 積雪1メートルは軽く超えるイメージがあるんですが、本当にそんなに積もるんですか? (2015年2月21日 21時) (レス) id: 6217ec00b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:岬鬼 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2014年4月1日 23時

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