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乱闘 ページ5

島原の遊郭についた頃には完全に日は暮れ落ちており、灯りなしでは歩けない程闇夜に染まっていた。
それもそのはず、今日は朔の日。
月の出ない新月の日にあたるのだ。
そして、先程吹いていた風もない。
静かで暗い夜だった。
Aは広くも狭くもない部屋を一室借りると、きっちり襖を締め切って部屋に正座した。
シン、と静まり返る部屋の遠くからは、遊郭へ遊びに来ている男の下品な笑い声が聞こえてくる。
その江湖から離れるかの様に、彼は双眸を閉じた。

貴女「・・・あぁ。」

千里眼を開き、深く意識を集中させようとしていた彼は突如、その明眸を開く。
辺りの気配が千里眼に写りこみ、己に害をなす人物を見止めた。
いつからついて来ていたのだろうか。
そんな疑問と末恐ろしいという恐怖を同時に感じた。

貴女「鬼という種族は本当に人の見張りが好きなんだね。
不知火もずっと見張ってたよ。」

懐に隠していた針を一本持つと、それを勢いよく放つ。
相手が微妙な反応を見せると同時に、彼は神速とも言える速さで廊下に躍り出ると鋭い眼光で敵を睨み付けた。
赤く妖艶な瞳と視線を合わせ、彼は体術で勝負を仕掛ける。

貴女「はぁ!!」

激しい肘内は風のない宵闇の虚空に風を吹かせた。
紙一重でAの技を避けた男は耳元で聞こえた風を切る音に僅かな驚きを見せる。

風間「ほぅ、なかなか筋がいい。」

その男、風間千景と対峙した彼は何本もの針を手中に持ち、小さく息を吐く。
刀を抜かないのは・・、否、抜けないのはここが花街だからだ。
だが、花街であるが故、あちらも刀を抜かないというのが不幸中の幸いと言えよう。

貴女「何の用・・、なんて聞く必要ないか。
私は君と一切の手を組む事はしないよ。
来てくれたところ悪いけど、帰ってくれないかな。」

殺気を漲らせた瞳は、前回の二条城での出来事で警戒している様に見える。
低く姿勢を構えながら戦闘態勢に入る彼に、風間は小馬鹿にする様な笑みで微笑んだ。

風間「貴様を連れていくのに同意など必要ない。
貴様にその気が無いのであれば、指の一本や二本斬り落としてでも連れていく。」

その直後、風間は花街と言えどここで刀を抜いた。

貴女「!?」

即座に斬りかかって来た相手にAは針を投げて応戦した。
僅かとはいえ敵の速さは落ち、避ける余裕を作ると戸を開けて広い外へと移動する。
だが、刀相手に殺傷力のない針は不利すぎる。
ここまで来て、やっとAは刀を抜く覚悟をした。

忘れている自分→←八方塞がり



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岬鬼(プロフ) - 白夜さん» 白夜さん>なんだか、私のところで言う「エライ」に似てますね〜^^ 私のところも「エライすごい」で「とてもすごい」って意味になるんですよ〜 1mも積もる雪なんてお目にかかった事がないですよ! それだけ積もると、ちょっと怖いですね (2015年3月3日 19時) (レス) id: 6217ec00b2 (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - 姫百合さん» 姫百合さん>なかなか心の内を話さない主人公なので、ここまでくるのもなかなか大変でした(笑) 試練も二人で乗り越えてくれると信じてます!← なんにしろ、ここから最終章までが踏ん張りどころですね〜^^ (2015年3月3日 19時) (レス) id: 6217ec00b2 (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - 岬鬼さん» 「なまら」は確か[とても]という感じの意味だったと思うので「なまらスゴい」(とてもスゴい)という感じに… 私も行っててみたいものですw それくらいは積もるんじゃないですかね 私の家の庭は雪が積もっても放置しているのでいっつもスゴいことになっているんです;; (2015年3月3日 1時) (レス) id: dcc2cda9a3 (このIDを非表示/違反報告)
姫百合 - 何だかほんまにどんどん甘くなってきましたね〜^^試練があっても、二人なら乗り越えられるはずですよ♪← (2015年2月23日 12時) (レス) id: baac39ec53 (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - 白夜さん» 白夜さん>いえいえ、テストお疲れ様です^^ 「なまら」は聞いたことありますよ!使い方は分かりませんが汗 そうなんですか!でも、一度は雪まつり行ってみたいです^^ 積雪1メートルは軽く超えるイメージがあるんですが、本当にそんなに積もるんですか? (2015年2月21日 21時) (レス) id: 6217ec00b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:岬鬼 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2014年4月1日 23時

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