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密会 ページ3

二条城の一件以来、緊張感を纏い続ける新選組。
そして、伊東派と近藤派の対立は溝を深めるばかり。
そんな状況でAは島原にある豪華な料亭の一角へ足を運んでいた。
膳を挟み、彼の前には伊東甲子太郎の姿が。

貴女「それで、薩摩は君と手を組みたいみたいだよ。」

涼やかな風が吹き去り、僅かに窓から入り込んだ風が小さな音を立てる。
薄暗い部屋に風鈴の音。
明暗をハッキリ描く影に、彼の表情は美しく協調され、伊東はうっとりと微笑みかけた。

伊東「そうですか。
ここまでは私達の予定通りですわね。
後は脱退の理由をどうするのか。」

度重なる伊東との密会に慣れを感じる様になってきたAは、纏わりつく伊東の熱視線を避ける様に顎を肘の上に乗せた。
本音を言えば、彼自身、この伊東と言う男が苦手なのだろう。
千里眼で伊東の心が読めるため、余計に受け付けないらしい。

伊東「まぁ、脱退の理由は一つ案がありますの。
実は死んだはずの山南さんが夜な夜な境内に現れるという噂を聞きましてね。
あちらは参謀である私に何か隠し事をしている様です。」

貴女「・・・へぇ。」

伊東「これを理由にすれば、すぐにでもあちらを叩く事が叶いますわ。」

山南が切腹したという話は風の噂で彼も耳にしていた。
それでも山南が生きているというならば、まさか・・
彼の脳裏を掠めた予感は、あの赤い目をした獣の存在だ。
詳しくはわからないが、あれは人を人ならざる者に変えてしまう。

貴女「調べてみようかな。」

突然、無言で立ち上がったAに伊東は何事かと瞬きを繰り返す。

貴女「私はもう行くよ。
また何か情報が入ったら売ってあげる。」

伊東「あら、もう行きますの?
もう少し貴方とお話していたかったんですがね。」

千里眼から伝わってきた伊東の感情に激しい悪寒を感じ、彼は身震いする。
吐き気を思わせる悪寒から逃げる様にその場を立ち去ると、速足で京の都を歩き始めた。

貴女「あの男、何回会っても気持ち悪い。」

ゾクゾクと背筋を冷や汗が這い、泡立つ鳥肌は伊東との密会後はいつもの事だった。
徐々に速足が駈足に変わり、いつしか彼は走り出す。
向かった場所は長州藩邸。
二条城の一件から、不知火を避けていた彼は久しぶりにここに訪れた。
ゆっくりと深呼吸した彼は、門をくぐり中へ足を踏み込ませた。

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岬鬼(プロフ) - 白夜さん» 白夜さん>なんだか、私のところで言う「エライ」に似てますね〜^^ 私のところも「エライすごい」で「とてもすごい」って意味になるんですよ〜 1mも積もる雪なんてお目にかかった事がないですよ! それだけ積もると、ちょっと怖いですね (2015年3月3日 19時) (レス) id: 6217ec00b2 (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - 姫百合さん» 姫百合さん>なかなか心の内を話さない主人公なので、ここまでくるのもなかなか大変でした(笑) 試練も二人で乗り越えてくれると信じてます!← なんにしろ、ここから最終章までが踏ん張りどころですね〜^^ (2015年3月3日 19時) (レス) id: 6217ec00b2 (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - 岬鬼さん» 「なまら」は確か[とても]という感じの意味だったと思うので「なまらスゴい」(とてもスゴい)という感じに… 私も行っててみたいものですw それくらいは積もるんじゃないですかね 私の家の庭は雪が積もっても放置しているのでいっつもスゴいことになっているんです;; (2015年3月3日 1時) (レス) id: dcc2cda9a3 (このIDを非表示/違反報告)
姫百合 - 何だかほんまにどんどん甘くなってきましたね〜^^試練があっても、二人なら乗り越えられるはずですよ♪← (2015年2月23日 12時) (レス) id: baac39ec53 (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - 白夜さん» 白夜さん>いえいえ、テストお疲れ様です^^ 「なまら」は聞いたことありますよ!使い方は分かりませんが汗 そうなんですか!でも、一度は雪まつり行ってみたいです^^ 積雪1メートルは軽く超えるイメージがあるんですが、本当にそんなに積もるんですか? (2015年2月21日 21時) (レス) id: 6217ec00b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:岬鬼 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2014年4月1日 23時

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