薄桜鬼〜明眸の千里眼〜

撃退 ページ6

貴女「やめなさい。」

凛々しく低い声が響き渡って一瞬にし、闊歩していた人すべての視線がそこに向けられた。
不思議と町娘を中心に町人達が何十人も集まってくる。

浪士1「あぁん！！なんだテメェ等！！
関係ない奴は散れ！！」

居心地が悪そうに浪士は集まってきた町人を睨みつける。
Aは威嚇的な眼差しを浪士に向け、何も言わずに相手の出方を伺った。

浪士2「チッ・・、気味悪い。
おい、行くぞ。」

浪士1「お、おう。」

狡猾な表情を残したまま二人の浪士は逃げ去るように早足で立ち去る。
威嚇するようなAの目と、集まってきた町人・町娘の目が彼等には堪えたらしい。

Aは背に庇っていた町人に手を差し出し、

貴女「大事は至りませんか？」

と、先程とは打って変わって穏やかな瞳を町人に向けた。
凛々しい彼の容姿に町人は釘付けになる。

町人1「あ、ありがとよ若いの。」

Aの手を取り町人が立ち上がった瞬間、辺りからワッ、と歓声が上がる。

町人2「やるな、兄ぃちゃん！！」

町人3「浪士共を一睨みで撃退するなんてなぁ！！」

町娘1「カッコイイ・・・」

恍惚する娘達に、興奮する町人。
慣れない状況にAの整った容姿が困惑の表情に変わる。

貴女「うん？」

と、先程の茶屋で出会った娘二人が駆け足で歩み寄り、Aの腕を両脇から引く。

町娘1「お兄さん、私と遊びに行きましょ。」

町娘2「あっ、ズルイ！！私が先よ！！」

貴女「あ、あの・・・」

当の本人の意見は聞かず二人の娘はAを取り合った。
その間にも一人、また一人と娘が集まってきて収縮がつかなくなる。


・


その歓声の最後尾で一人の男が不思議そうに首を傾げていた。

？？「何、この騒ぎ。」

男は今朝Aとすれ違った浅葱色の羽織の者。
彼は騒ぎの根本が気になったのか、人の間を掻き分けて騒ぎの中心へと向かった。

無遠慮→←騒動は突然に

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