40.先生、大丈夫ですか? ページ41
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襲ってくるゾンビさん達を転送しまくって、無事に尾田先生の元へ辿り着いた。
くるりと振り返ったジャージゾンビさんに叫ぶ。
『尾田先生!』
少しだけ、動きが止まった。
それでもまだ私達を敵だと思っているのか、ゆっくりとこちらへ近付いてくる。
それに対して赤司君と千尋先輩も転送銃を構えるが。
『宏子さんへの花束です!』
花束を廊下に置いて、少し後ずさる。
尾田先生は花束までやって来ると、下を見た。
そして花束を手に持ち……
〈……〉
『尾田……先生……?』
じっと見つめている。
顔がぐちゃぐちゃだから、直視は出来ないけど今なら行ける、後もうひと押し!
少し目線をずらして、もう一度叫ぶ。
『6年2組!一之瀬Aです!』
尾田先生は……こちらを向いた。
〈……イチノセ、……オ、レ、ハ……〉
徐々に、徐々に言葉が人間らしくなっていく。
顔も、体も、見た目も全てうっすらと、元の姿を写し出す。
少し強面な尾田先生の姿が、ゾンビさんではあるけども、薄く透明になって出現した。
それを見届けて、転送銃を下ろす。
〈……いちのせ……おれは……おまえは……そうか、ぶじだったんだな……〉
『……火事の事ですか?あの、それはまだ……』
〈……いま、おまえは……しあわせか……?〉
『え、あ、はい。幸せです、行きたい高校にも行けて、友達にも恵まれて』
ひたすらに質問だけしていく尾田先生。
花束、ありがとう。
最後にそう言って、笑う。
「……尾田先生は、何故自分がそのような姿になってしまったのか、分かりますか?」
そして尾田先生の体がどんどん薄くなっていく時、赤司君が最後に質問した。
……そっか、私達が知らない事でも尾田先生、元ゾンビさんに聞けば分かる情報があるかもしれない。
気になる、私も尾田先生を真っ直ぐ見つめると、今にも消えそうな尾田先生は少し顔を曇らせた。
私に近付く。
〈……ごめんな、しらないんだ、〉
そして謝った。
〈……せ、……を……な……〉
でも、消え入りそうな声で、多分私にだけ聞こえるような声で、最後に呟いたその言葉に。
少なからず私は困惑する。
何で、聞こうと思って口を開けば、もう尾田先生は目の前には居なかった。
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二階堂嗹哉(プロフ) - ちーちゃん先輩(千尋先輩)分かってますね!あれすげぇ!自分も学校走りたくなってきた!!←帰宅部 (2018年8月17日 23時) (レス) id: 457093c9f7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 私の学校生徒会ありますよ!!生徒会...児童議会なんですが、あれには嫌な思い出しかない...; (2017年8月21日 22時) (レス) id: 0e337993f1 (このIDを非表示/違反報告)
神崎セルザ@復帰しました(プロフ) - エコロさん» あー……私の友達が吹奏楽部だったなぁ……とか思ったり笑 放送室に居たのは一体誰だったのでしょうか?笑 (2017年1月5日 9時) (レス) id: 98008e40b1 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 神崎セルザ@復帰しましたさん» うん(笑)会いたい〜
これ真面目になんだよね(笑) (2017年1月2日 0時) (携帯から) (レス) id: c4b4c5b1a0 (このIDを非表示/違反報告)
エコロ - か、感覚で…ですか。小4の時吹奏楽部に入ってたんですけど…すぐ止めたんですよ…(主人公どうなるんだよ…アナウンスェ…) (2017年1月1日 19時) (レス) id: 02a216e2f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神崎セルザ@復帰しました | 作成日時:2016年11月6日 18時