【赤司征十郎】学校を駆け回れ！2【黒子のバスケ】

63. ページ18

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【アレの名前はキヲクです。】

「キヲク……？」

【キヲクを視界に入れると、どんなものでも恐怖を感じ体が重たくなるんです。】

「……逃げる事は？」

【不可能です。キヲクはワープ機能を持っています、動きは遅いですが何処へ逃げてもワープして獲物を簡単に捕らえてしまいます。】

「キヲクに弱点は」

【ありません。だからこそ、キヲクは僕達のようなものにも恐れられています。キヲクにとって動くものは全て獲物ですから。】

「もし、もし捕まったらどうなるのだよ、」

【捕まってしまった場合、その者に幻覚を見せ記憶を奪い最後には脳を取り出し食べて息の根を止めてしまいます。高尾さんと監督さんとAさんは残念ですが……キヲクと対峙してしまった以上対抗する術は無いのでそのまま……】





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『……あれ？』



目を開けると、私は教室に居た。
騒がしい1年C組。
友達が私に挨拶をする。



「おはよーA！」

『……、おはよう』



無意識に挨拶を返したけど、何か私ずっとここに居たっけ？
違う場所に居たような……



〈キーンコーンカーンコーン〉



チャイムだ。
授業が始まる。
先生がドアを開けて入ってくる。
1時間目は数学。



黒板に字が書かれていく。
数学か……と気乗りしない頭でノートを広げ先生の字を写そうともう一度黒板に視線を戻した時、私の手からペンが落ちた。



〈何で貴方だけ生きているの？〉



何の、事だろう。
明らかに数学の内容じゃない。
私は周りを見たが、周りは無反応。
隣の人を見ると、その人はノートに何で一之瀬Aだけ生きているの？と書いていた。



『何、言ってるの……？ねぇ、おかしい、数学じゃないよね、ねぇ……』



聞いても、授業中なのに大きな声を出しても誰も何も言わない。
無表情で、黒板の字を写していく。



怖い、



〈どうして死ななかったの？〉



『……先生！おかしいよ！何？何が言いたいの？！』



〈ずるい、お前だけ生き残ってずるい〉



『何が……ねぇ、お願い誰か何か言って！』



〈俺も、私も、僕も、高校生になりたかった〉



〈生きたかった〉



先生は書く手を止めない。
私の方を見てくれもしない。



ずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるい



〈一之瀬A、お前も死ねよ〉



周りの皆が、消えた。


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