ContrasT【あんスタ！】【WT】

tune.16 ページ16

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Trickstarの勝利の女神こと あんずさんは、ごく一般的な女子生徒といった感じだった。しかしプロデュースにかける熱意は、素人とは思えないほど深いものだった。
彼らが安心してアイドル活動に専念できるよう協力は惜しみません、という言葉まで。


「‥‥さて、あんずちゃんとも顔合わせが済んだところで‥‥調査の結果を共有してもらおうかな」

はい、とタブレットを開く。画面には結果が並んでいる。パソコンに送信された情報をわかりやすくまとめたものだ。

近界民に狙われやすい原因は、ボーダー内の基準で言えばトリオンが「5」以上であること、がこれまでの報告から条件の1つとして推測されている。そのため、諸々の状況も含め「一定の値」はそれより少し低めの「4」に設定してある。

通常、高いトリオン能力の持ち主に会えることは少ない。高い素質を持つ者はスカウトなんかで集められるが、その条件に合う者を見つけるのも一苦労という話だ。

───だから、この結果は少し異様とも言えるだろう。

「‥‥調査の結果、引っかかったのは4名でした」

「それは、多いのか？ 少ないのか？」という蓮巳さんの疑問に、「多いですね」と返す。

「まず前提としてお話ししますが、ボーダー内ではトリオン量を1〜10の10段階で評価しています。それに当てはめると、戦闘員は大体5〜6が一般的です。10以上を叩き出す人もいますが、それは極稀ですね。
戦闘員以外だと、1〜2の人が多いです」

タブレットの画面に視線を落とし、結果を読み上げていく。
「1人目は椚先生で、4でした。先生には既にお伝えしてあります。
2人目は朔間凛月、4。3人目は朱桜司、5。
そして最後が、月永レオ」

最初その数値を見たとき、思わず我が目を疑った。しかし、これによってアイドル科のトリオン平均値が他科よりも高かったことの説明がついた。

「トリオン量は───12」

はぁ！？と可愛らしい声が室内に響いた。姫宮桃李である。「さっき、10以上はなかなかいないって言ってなかった？」

「ええ。とんでもない数値ですね。ボーダー内でも滅多にお目にかかれるものじゃありません」

やるな月永‥‥、と蓮巳さんが感心している。わからなくもない。というか、私からしてみれば羨ましいの一言に尽きる。神は二物を与えないんじゃなかったのか。音楽の才能、トリオン能力、そして顔面と二物も三物も与えられている。

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