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1章 魔法使い( 4 ) ページ6

「…ええと。取り敢えず座って、夏目くん。」

「失礼するヨ、子猫ちゃん。」


立ちっぱなしもあれだったので夏目くんを隣へ座らせた。

これから魔法を掛けられる(らしい)から持ったままではいけないかと思い、残っていたタピオカミルクティーを飲み干せば近くにあったゴミ箱へと空の容器を捨てる。

そしてベンチへもう一度座れば彼の方へ向き直った。


自己紹介も済ませた所だし、話を元に戻したい。彼…夏目くんは私に魔法を掛けてくれるといった。


けれど、それは一体?


仮に魔法があるとして、何の魔法を掛けると言うのだろう。


そもそも魔法を使うと言ってもそれはRPGでよくある攻撃魔法の事なのだろうか、それとも精神的な物?あるとすれば後者、だろうか。

それがどんな物なのか私には分からない。


やはり彼に一度魔法を掛けてもらうしかないのだろうか。なんて思考をぐるぐる回し考えていれば彼の方から話し始めてくれた。



「フフ、ボクと魔法について色々考えてるみたいだけド、実際に魔法を体験した方が早いんじゃないかナ。」


「…!………、ちなみに、私に掛けるとしたら、どんな魔法を掛けるの?」


…なんで分かったんだろう。

考えていた事をまるで読まれた様に言い当てられ思わず驚いてしまうも、今は聞かない事にする。

大体魔法が使える、なんて言うのだから人との対話で内心を探ったりするのが彼は得意なのかもしれないし。

興味から彼をじっと見詰め続けていれば言葉が返ってくる。


「…そうだネ。じゃあ手始めニ…身体が軽くなル、そんな魔法はどうかナ?」


「…身体が?………あ、言っておくけど私そんなに太ってないよ、これでもちゃんと平均体重よりちょっと軽いくらいなんだから。」


「フフ、そういう意味じゃないヨ?本当に言葉通りの意味ダ。気怠さだとかそう云った物が無くなるって意味だったのだけド……子猫ちゃんの解釈は面白いネ。」


「…うっ、」


腕を組み面白そうに笑われては勘違いしたこちらが恥ずかしくなってくる。

何を勝手に早とちりしてそんな風に思ってしまったのだろう、自分は自分で思っていたよりお馬鹿さんだったのもしれない。

思わず彼からふい、と顔を逸らしてしまった。



「子猫ちゃん、ボクの言い方が悪かったネ。だから顔を見せテ?」


「…うん、ご、ごめん。」

顔を逸らした事を謝れば全然気にしてないヨ、と微笑んでくれる彼。

頬が染まっているのは勿論、自分のお馬鹿さんな所に対する羞恥心からだ。

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エンドロール - すごくこの作品好きです!描写も細かいし何より読みやすくて面白い!これからも頑張ってください、応援してます。 (2020年1月18日 13時) (レス) id: feeead544b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ドロップ | 作成日時:2020年1月15日 9時

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