【カゲプロ】メカクシ団でメイド喫茶！！？ (ページ5)

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≪第２章≫　驚きの事実ページ5

シックでゆったりとした広い店内。

「あれ、可笑しくないッすか？メイドさん見当たらないッすよ？」

その通りだ。接客業が命なはずなのに。そもそも客どころか、従業員さえもいない。

さながら閑古鳥が鳴いている、といっても過言では無いかもしれない。

すると奥からスラッとした女性が出てきた。メイド服は纏ってはいないが、上品な気品が溢れ出て

いる。彼女はボクらを見て、特徴的なアルカイックスマイルを浮かべた。

「ようこそ。私は店長のトモエと申します。バイトの方ですね？」

アヤノがコクリと頷く。

大声では無いのに、よく通る声。色素の薄い茶髪を後ろで申し訳なさそうに結っている。

「綺麗・・・」

マリーが顔を綻ばせる。とても綺麗な女性だった。バラのような目立つ美しさでは無く、道端に

咲き誇る草花のような素朴で、儚いものを感じさせた。

「そんなに見つめないで。まずはこちらへ」

誘われるまま、ボクらは店内の奥に入った。新宅なのだろうか。内装は綺麗だった。

椅子を用意してもらい、紅茶やコーヒーまで出されてしまった。有難いのだが、申し訳なくも思う

のはどうしようもない。

「お久しぶりです」

そう言ったのはカノである。一瞬、ボクはカノとトモエさんを見比べてから体に電撃が奔った。

そっくりなのだ。色素の薄い茶髪も、小柄で色白な手足も。カノのような化かされるような感じは

無いが、雰囲気がどことなく似ている。

「紹介するよ。この人は僕の母さんのお姉さんにあたる人でね、母さんが死んでから自分の家を
　飛び出してカフェを開いたんだ」

皆、マリーによって石化されたわけでも無いのに固まっている。

なんでも彼女はもとから両親に不満を抱いていたらしく妹の訃報を聞いた直後、家族の妹に対する

反応に反感を覚え、出て行ったそうだ。いろいろなカフェでアルバイトをして、とうとう自分の

お店を開いたんだとか。

「ちょっと待ってよ。メイド喫茶は？あの雑誌は何だったの？」

ヒビヤがつっかかる。確かに、どう考えてもあの目立つ広告とは似ても似つかないのは一目瞭然。

するとカノは肩をすくめた。

「あれは皆を惑わすためのフェイク。トモエおばさんがこっちに引っ越してきたっていうからさ、せっかくなら紹介がてら皆に働いてもらおっかなー？・・・なんて」

トモエさんが指をパチンと鳴らす。

「メイド喫茶は本当よ。さぁ、早速準備しましょうか！」

ボク達は「任務開始！」なんてクールに決めた。