6.Ki ページ37
Ki side
腰を引き寄せられた俺は、気が付いたら藤ヶ谷の腕の中で成すがままだった。
Ki「…ァンッ、、ハァッ…ンッ、ンンッ…‼」
こんな冷え込む真冬の夜なのに、唇から伝わって来る熱に頭が白濁と化していく。
逃げられないように押さえ付けられた後頭部を支える腕の強さは、まるで藤ヶ谷の意思そのものだった。
俺の理性が、藤ヶ谷からの突然の行為に必死に抵抗する…が、拘束するその力の強さに、全く歯が立たない。
Y『みっちゃんに惹かれなければ、確かに一連の出来事はなかったかもな?』
あれは、秋の夜…
突然、藤ヶ谷が太政大臣のお供として内大臣家に現れた時のコトだ。
F『北山がそんな目に遭っているのも、全部オレのせいだ…オレが、』
何故、今こんな状況下でそんなコトを思い出すのか分からない。
でも、一つだけ確かなコトがあった。
Ki「…ゥンンッ、、ンッ……ンンンンッ‼」
捕らわれた舌先が絡み合い、強い力で吸われると頭の芯から理性が溶け出していくような気がした。
意識が朦朧として、思考が途切れる感覚…嫌でも俺から抵抗する力は奪っていった。
ドンッ…!
Ki「やめ、ろ…!」
藤ヶ谷を押し退けて反射的に距離を取ろうとした俺は、陛下の衣装箱に左手を付いて何とか腰が砕けそうな身体を支える。
圧倒的な力の差から抜け出せたのは、一瞬だけ藤ヶ谷の腕の力が緩んだからだ。
ハァハァ…ハァ……
相変わらず整える呼吸は白く暗闇を彩るが、身体は熱くて仕方なかった。
Ki「なぁ、お前…」
何とか呼吸を整えて、対峙する藤ヶ谷を見据える。
Ki「藤ヶ谷、お前…初めてじゃないだろ?」
その核心に触れないでいるなんて、もう無理だった。
Ki「俺に、こんなコトするの…初めてじゃないよな⁈」
藤ヶ谷の唇に触れるのは、初めてなんかじゃない。
昨年、秋の夜…襲撃された陛下の寝所で、俺を敵から救って負傷したのは、藤ヶ谷だ。
じゃあ、まさか……
Ki「おぃ、藤ヶ谷…お前、何とか…」
言えよ、と弁解を求めた俺に、藤ヶ谷が寄越して来たのは意外な言葉だった。
F「オレが…お前を助けてやる…」
Ki「え…」
それは、俺の予想とは全く異なる回答だった。
F「もうこれ以上…
確かな意志を宿した藤ヶ谷の眼光に、俺は怯む。
ガタンッ…
音を立てて部屋を出て行った藤ヶ谷がいなくなった後、膝から床に崩れ落ちた。
俺の頭は、混乱したままだった。
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Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時