アウト【1】 ページ36
「まぁ、対等だとは思ってないわな。……けど、何言われても覚悟はできてたはずだろ。「全員で逃げる」って時点でよ」
「うん…でも…」
レイは私の右頬を撫でながらエマに返答を返した。
エマは眉を下げて考え込んでいる。
私はノーマンの右頬が赤く腫れているのを見てそれが酷くなる前に…と思い「湿布を取ってくる」と言ってその場を離れた。
それに、2人にも謝りたい。
「違うんだ…全部八つ当たりだ」
少し歩いたところでドンの声が聞こえたので足を止め、ソッと壁から顔を覗かせた。
「ザコ扱いが悔しいんじゃない……。
嘘を…つかせた。何もしてやれなかった。無知で……無力な俺が……自分が本当にザコなのが悔しい…!悔しい…!!」
『!』
「強くなりたい…強くなりたいよ…」
「うん…うん…」
ドンが大粒の涙を流し、手で顔を覆う。
上を見上げても涙は止まらなくて、ギルダに支えならながら壁に背を預けて座った。
ドンの背中をさすっているギルダも泣いている。
『(おかしいな……)』
気付いたら私の頰にも涙が伝っていた。
……分かるから。ドンの気持ちが。
私はドン達より先に脱獄の協力者になったけど、多分私があの時踏み出さなきゃ今ココにいないし。
なにより、私はあの時ドンと同じことを思っていたから。
『ドン…ギルダ…』
「!?」
袖で軽く涙を拭いた後、2人の前に出る。
この間違った選択のまま嘘を貫こうとしていたことを謝るため口を開くと、遠くからパタパタと3人分のスリッパの音が聞こえた。
「ドン!ギルダ!」
「エマ」
「A…?」
謝罪しに来るとは思ってたけど、タイミングが同じだったため小声で「私も一緒」とエマ達に伝えた。
まだ泣いた跡が残ってたのか顔をマジマジと見られたが。
「ごめん!私が甘かった!私、解ってなかった。信じるって覚悟が足りてなかった。信じてくれて…気づかせてくれてありがとう」
「僕からもごめん」
『私もごめん…』
「うっ!いや…その……。俺もつい殴ったりしてごめん」
エマに続いてノーマン、私の順で謝ると、ドンは戸惑いながらも先程のことを謝った。
そして私とノーマンの頰の跡を交互に見る。
「大丈夫……じゃないよな、まず医務室行こう!」
「平気平気」
『これぐらいなんともないよ』
「勝手な行動をとったこともごめんなさい」
「うん…レイが怒るのも当然だ」
「「その……本当に……」」
2人は猛省して縮こまってしまった。
431人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
仙里(プロフ) - シスター・クローネが自己紹介時にシスター・クローネとなっていますよ。すごく面白いです (2020年2月23日 21時) (レス) id: e74e5ba2d3 (このIDを非表示/違反報告)
hono - 私は最年長の三人組が推しだと思っていたのですが・・・フィルは思っていませんでしたwww確かに猫口可愛いですよね!!! (2019年2月15日 20時) (レス) id: 03d076c9eb (このIDを非表示/違反報告)
同志スターリン - 可及的速やかにコミンテルンの創設が必要である (2019年2月11日 16時) (レス) id: b0598bc4a0 (このIDを非表示/違反報告)
ネック(プロフ) - あさん» 指摘コメントありがとうございます!女の子らしい肉体を…と思いそのような設定にしたのですが、確かに10歳の女の子、胸はまだ成長途中ですね……。早急に設定を変更させていただきます! (2019年2月11日 10時) (レス) id: 77510b3074 (このIDを非表示/違反報告)
あ - 10歳なのに胸がそこそこって...小学生年齢に何を求めてるのでしょうか。少しその設定が引っ掛かりましたので今回は少し低めの評価を押させて頂きました。これからも頑張ってください。 (2019年2月11日 9時) (レス) id: 23fc808fab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ネック | 作成日時:2019年1月26日 0時