内通者【3】 ページ26
次の日の鬼ごっこ。
ギルダとドンは最近している鬼ごっこが”遊びのフリをした訓練”だったことを知った。
そして今、就寝前で部屋に入ろうとしたところをノーマンに呼び止められ、人が寄って来なさそうな食料庫に連れ込まれる。
「Aの考えを聞きたいんだ」
『?』
「スパイについてなんだけど…」
『あぁ……レイのことね』
「えっ!?」
ノーマンが目を大きく見開く。
気付かれてるかな、って思ってたけどノーマンはどうやら気付いてなかったみたいだ。
「いつから?」
『レイが内通者だって確信したのはつい最近だよ。今思い返せばコニーが出荷されたあの日から怪しかったかな』
「友達を疑ったのは申し訳ないけど」と付け足す。
あの日、コニーはリトルバーニーを忘れて行ったんじゃない。レイが意図的に置いたんだ。
ハウスの真実を2人に知らせて、それに協力者を増やして脱獄しようとしたんだろうな。
それにこのハウスのことを知らされたとき、レイはすんなり納得したって前言ってた。
でもシスターが来たり、予想外のことが起きたときはしっかりと顔に出ていたのを私は見逃していなかったのだ。
『ノーマンも疑ってたんだね』
「あはは……でもそれなら話は早い。Aは内通者をここに置いて行く?一緒に連れて行く?」
『連れて行く!レイは私達のためにスパイをしてくれてたんだと思うし……もし違っても大事な家族は絶対に置いていけない…』
「そっか……さっきエマにも、レイの名前を伏せて同じことを聞いたんだけど、Aもエマと同じ考えで良かった」
ニコリと笑って抱きしめてくる。
肌はとても白いのに温かい。
なんてことを呑気に考えたあとに慌てる。
『……なっ!?』
「ごめん、ちょっと安心しちゃって。僕のほうが1つ上なのにね。」
『これ…自分も安心する……』
「なんだかAは妹って感じがしないや…」
『何ソレ』
「ん?Aが可愛いなって話だよ」
『…!!ノーマンはかっこいいよ』
食料庫の中で2人で笑った。
その後はそこから出て、他愛のない話をしながら並んで歩いて部屋に向かった。
部屋の前に着くとノーマンは深呼吸をして、もう一度私を抱きしめると、「じゃあ」と言いながら後ろを向く。
「僕はレイの元に行ってくるね」
ノーマンの声は緊張しているみたいだった。
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仙里(プロフ) - シスター・クローネが自己紹介時にシスター・クローネとなっていますよ。すごく面白いです (2020年2月23日 21時) (レス) id: e74e5ba2d3 (このIDを非表示/違反報告)
hono - 私は最年長の三人組が推しだと思っていたのですが・・・フィルは思っていませんでしたwww確かに猫口可愛いですよね!!! (2019年2月15日 20時) (レス) id: 03d076c9eb (このIDを非表示/違反報告)
同志スターリン - 可及的速やかにコミンテルンの創設が必要である (2019年2月11日 16時) (レス) id: b0598bc4a0 (このIDを非表示/違反報告)
ネック(プロフ) - あさん» 指摘コメントありがとうございます!女の子らしい肉体を…と思いそのような設定にしたのですが、確かに10歳の女の子、胸はまだ成長途中ですね……。早急に設定を変更させていただきます! (2019年2月11日 10時) (レス) id: 77510b3074 (このIDを非表示/違反報告)
あ - 10歳なのに胸がそこそこって...小学生年齢に何を求めてるのでしょうか。少しその設定が引っ掛かりましたので今回は少し低めの評価を押させて頂きました。これからも頑張ってください。 (2019年2月11日 9時) (レス) id: 23fc808fab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネック | 作成日時:2019年1月26日 0時