20 - 2 星に願いを ページ10
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「…」
「夏目くん？」
不意に呼ばれて、夏目は不服そうな顔でつむぎに理不尽な蹴りを入れた。
「何でですか！？」
「ししょーは考え事してるなー？
宙はわかります！」
幼子のような笑みを浮かべ、『宙』は代弁するようにそう言う。
疎らに人が残る暗い校庭で、つむぎは優しく笑った。
「…ああ、Aちゃんですか」
夏目はうんともすんとも言わず、ただ黙って睨めつけるようにつむぎをじっと見ていた。
それを汲み取るように、つむぎは続ける。
「彼女も中々の『抱えたがり』ですからね
ひとりでなんでもやってしまう
優しい笑顔で、いつも″俺達″を苦しみから守ってくれるんです」
「Aは優しい色なー
でも、少し暗いなー
宙は少し悲しくなります」
「…、ソラは優しいネ」
漸く言った言葉はそれだけで、また黙り込んだ夏目は、遠くで光るpsylliumの明かりに目を細めた。
そうして、少し間を置き、小さな声で告げた。
「ボクはただ、愛していタ
だかラ、繰り返しタ
それを望んでタ」
宙もつむぎも、何も言わなかった。
夏目と同じく、遠くに光るpsylliumを眺めるだけ。
「…自分勝手だってわかってル
…デモ、どうしようもなかったんだヨ、ボクでハ、何モ」
沈黙の中で、遠くで響く歓声だけが自棄に目立つ。
既に慣れた、心地の良いstageの音。
「…ボクはこのままでもいいのかナ」
小さな弱音が、歓声でぼやける。
淡く光ったpsylliumを、宙は頭上に翳した。
それは魔法のように、不確かで、けれども美しい、不思議なモノだった。
「…ししょーが、Aが幸せになるように
宙は、精一杯お星さまにお願いします」
弱音に被さる、密かな願い。
「…夏目くんが何を抱えているのか、俺にはわかりませんが
それを承知で、俺はこれまで夏目くんと付き合ってきたんですから
最後まで付き合いますよ、夏目くん」
3つの淡いpsylliumが、夜空に向かって淡く光った。
空に浮かぶひとつひとつの星よりも、その時だけは、そのpsylliumがより輝いているように、私には思えた。
「宙達は魔法使い
まわりの人を幸せにする魔法をかけるなー」
「後半が始まるみたいです
見に行きましょう、夏目くん」
無数の星の中の消え入りそうなひとつが、何処か私達に力を与えるかのように懸命に光っていた。
ほんの少し特別な、小さな夜の1page。
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まひる(プロフ) - 雪羅さん» 時間なんて気にしません！！←ありがとうございます｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡自分勝手な妄想ばかりですがそう言っていただけると凄く嬉しいです(人*´∀｀)他の妄想にもお付き合いいただけると嬉しいです〜(*´∇｀)ﾉ (2020年9月23日 19時) (
レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
雪羅(プロフ) - 今更ですが完結おめでとうございます！漫画化、アニメ化してほしいほどまとまっていてワクワクするストーリー、とてもすごかったです。これからもまひる様のお話を楽しみにしてます！ (2020年9月23日 8時) (レス) id: 97af87c013 (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - Mashiro Lioさん» 最後までお付き合いいただきありがとうございました！普通のところとシリアスのところの対比が上手く伝わったようで良かったです(*’ｰ’*)ﾉまた、地の文に多少英語があるのは、この第４章の視点が司くんの為、和製英語等は英語表記、ということです(*´-`) (2020年8月17日 8時) (レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - 無気力のおにぎりさん» 最後までありがとうございました！他の作品も徐々に進めますね｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ご期待に添えるよう頑張ります(人*´∀｀) (2020年8月17日 8時) (レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
Mashiro Lio(プロフ) - 完結おめでとうございます！｢シナリオ『spring』へ戻る。｣というのが、わかってはいつつも何だかひんやりした感じを受けて、本編との対比が……。最後は無事｢ズ！！｣に移行できたということですかね。ところで最後の方、地の文に英語が増えたのは、なぜでしょうか？ (2020年8月17日 7時) (レス) id: 97626e8ffb (このIDを非表示/違反報告)
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