React of the Queen. IV【あんスタ】

Story 21『 Meteor shower 』 ページ15

.






「お姉さま！こちらへ！


見たこともないsnackがたくさんあります！」



「大丈夫、引っ張らなくてもなくならないよ」






無難にmask。

泉なんかはsunglasses。




ある程度変装をしつつ、私服で買い物。




視界の隅で揺れる白いskirtに、時折目を奪われた。






「かさくんはしゃぎすぎ…」



「いいじゃない

折角のoffでお買い物なんだし」






常に浮かべられる、控えめな笑みに気づかぬふりをして。


6人、Knightsでいられる時だけはまだ、手離せずにいる。






「おおっ、この飴リトルジョンみたい！


凄いなっ、霊感が湧いてきた！」




「こら道端で作曲始めんな！」








高校生活の3年間は永遠ではない。

そんなこと、誰だって知っている。



だからって、春に必ず来る別れが、永遠のものとも限らない。


それも、みんな知っている。







「楽しいから良いけど


これ、普通のアタシ達の通学路よねェ？
こんなありきたりなところでいいのォ？司ちゃん」






八百屋、魚屋、庶民が集う店が多くある見慣れた商店街。



そこから離れた、つい先日訪れたような『金糸雀館』。

チラシ配り、汚名返上でボランティア活動をして歩いた道。





私達が日々暮らした、これからも暮らしていくであろう地域。







「ええ、いいのです

寧ろ、ここが良いのです」







やっとの思いで手離した、レオと泉との高校生活最後のliveの余韻。



一生離れるわけでもない。

なのに、心に深く焼き付くのは悲しさ、寂しさ。







「最後は、ここから少し歩いたところなんです」







空が赤く染まる。


美しい赤が、空一杯に広がる。







「司の髪色みたいだね」







ぽつり呟かれたその一言に、小さく笑う。


歩いているうちに、その赤色はあっという間に消えてしまった。





それが何となく、今の私達のようにも思えた。








「…本当に通学路だねぇ」







遠くを眺めてそう言う泉の視線の先には、海がある。

遥かに広くて、僅かに赤が残った海が見える。







「スーちゃん、もしかして最後って言うのは、海？」




「はい」







土手から眺めた海。


鼻を僅かに擽るのは塩の香り。





消えかかった赤に、手を伸ばして、私は願う。









────『 どうか、消えないで 』









.

21 - 1 汀の嘘→←20 - 6 ファントム

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す