海の守り神 ページ8
.
「世界を消す、か」
「…案外驚かないんだな、おまえ」
意外そうな顔のレオに、もりちーは首を振って笑った。
「頭がついていっていないんだ
南雲なんか、言葉の意味もよくわかっちゃいない」
「…いや、わかる方がおかしいッスよ
世界を消すって、要は全員消えるってことッスよ？
寧ろ冷静になれる方がおかしいッス…」
「…おまえは、どう思う？」
率直に、レオは訊いた。
『想像もできないこと』を訊かれ、普通は混乱するも良い所だけど、もりちーはまっすぐレオを見て、答えた。
こいつならそうすると、レオは敢えてこいつに訊いたんだろうが。
「月永が言うのなら、良いんじゃないか？」
正義を志す者達にとっては、軽すぎる答え。
「…え、それだけ？」
レオはきょとんとする。
まわりの奴らも、少し驚いたようだった。
「月永たちがそうするのには、理由があるんだろう？
そうしかできない理由がある
でも、月永たちがその選択をするということは、人に害は及ばないこと
それなら俺は、月永たちの案を尊重するだけだ！」
「…いや、おれ達もわからないまま動いてるからおまえに訊きに来たんだけど」
「月永が最終的に選んだならば、俺は、それに従うのみだ！
おまえは、無意味に人を殺めたりするような奴じゃないと信じているからな！」
そう笑ったもりちーの後ろにいた、カナタがそっと前に出て、手を出した。
「れお、てをだしてください…♪」
「手、？
良いけど」
そうして差し出したレオの掌に、何かが置かれる。
「…、カナタ、これは？」
「『おまもり』です…♪
きっとあなたを、…いいえ、あなたの『かぞく』を、それはまもってくれるでしょう
ずっともっていてくださいね、それをもっていれば、うみがあなたをむげんにまもってくれます
うみがそこにあるかぎり…♪」
そう笑ったカナタが、空に線を描く。
その指先の流れと共に、水がふわっと舞った。
それと同時に、掌のものは蒼く光った。
カナタの目の色のように、海の青のように。
「そしてそれは、Aのです…♪」
空からそれは、“落ちてきた“。
それを、両手で掬うようにして受けとる。
「Aにかならずわたしてください
…そうしてもうひとつ、でんごんです
ひとをほどよくしんじてください
…ぼくがいえるのは、それだけです」
最後にそう、カナタは妖艶に笑った。
.
第六十二幕『友の愛す人、我の護り人なり』→←月と太陽の美しきこと
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 240人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まひる(プロフ) - 朔さん» 長かったのに最後までありがとうございました(/´△`＼)そう言っていただけると本当に嬉しいです！新作も是非読んでいただければと思います(*’ｰ’*)ﾉありがとうございました(人*´∀｀) (2019年8月1日 21時) (
レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - 最終章までお疲れさまでした。最初から最後まで楽しく読ませてもらいました。内容もしっかりしてて読んでて凄く楽しかったです！新作、楽しみに待っています！ (2019年8月1日 19時) (レス) id: ba31d19644 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
