赤ゆりの栞 ページ36
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ぼんやりとした、独りの空間。
手にした栞を空に掲げる。
本を読まない俺には全く縁の無い物のはずなのに、それはここにあった。
「……、」
押し花の栞なんて、俺に縁がないだけでありふれている。
誰かの落とし物だとすれば。
でも、こんな押し花の栞なんて使うのは女。
「……、女、？
……あんず？」
「なに、凛月くん
呼んだ？」
寝転んだ俺の頭上から、背を曲げて、ひょっこり顔を出したのは、顔が逆さのあんず。
3年になったあんずは、先輩としていつも忙しなく働いていた。
「ねえあんず、この栞、誰のか知らない？」
差し出した栞をあんずは見て、首を振る。
「…知らないなあ
可愛い栞だね、拾ったの？」
「…さあ
起きたら横にあった」
「…ふふ、何それ
………あ、そうだ、あの普通科の女の子は？
Knightsの人達とすっごく仲良い……」
あんずの口が、言い切る前に止まる。
言ってしまってから、しまったというように目を泳がせた。
「…俺達と仲良い？
……あんず以外に？」
「…あー……、…えっと
…私達と同学年で、普通科の子だったんだけど、凄くピアノが得意な子で作曲家見習いとしてアイドル科に出入りしてた、あの子
…いつの間にか、顔も見なくなって、…行方不明、？みたいになっちゃって
先生に聞いてもわからないの一点張りでね、」
誰かの笑みが、一瞬頭を過った。
同時に何故か、頭痛。
黙りこんだ俺に、あんずは些か驚いたような顔をしてから、
微笑んで、『ううん』と首を振る。
「…仲良さそうに見えただけかも
急に思い出しただけだし、
1年生とか2年生のプロデュース科の子にも聞いてみる？
女の子、結構増えたし、もしかしたら」
「……いや、いいよ、大丈夫
あんずはあんずで忙しいんだから
頑張るんだよぉ、あんず
…そうだ、今度、外でKnightsのライブやるんだ
来てよ、チケットあげるから」
「うん、暇なときね
凛月くんもサボっちゃダメだよ、レッスン
今度また行くね」
「はぁい」
ひらひら手を降りながら、栞を見つめて、
ひたすら記憶を探る。
あんず以外に、俺達と関わりのあった女の子。
あんずにはわかって、俺にはわからない子。
頭を過ったあの子は、俺達の、”何”？
頬を伝った、この涙の訳は何？
携帯が揺れて、それを手に取り聞こえたのは
凄く久しぶりな声だった。
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まひる(プロフ) - 朔さん» 長かったのに最後までありがとうございました(/´△`＼)そう言っていただけると本当に嬉しいです！新作も是非読んでいただければと思います(*’ｰ’*)ﾉありがとうございました(人*´∀｀) (2019年8月1日 21時) (
レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - 最終章までお疲れさまでした。最初から最後まで楽しく読ませてもらいました。内容もしっかりしてて読んでて凄く楽しかったです！新作、楽しみに待っています！ (2019年8月1日 19時) (レス) id: ba31d19644 (このIDを非表示/違反報告)
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