さよなら、俺達の世界 ページ35
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それぞれの鍵が光った。
それを見て、ママは微笑んで。
「用意は整った
覚悟も整っているかあ？」
それにレオは頷いて、笑い返した。
オレンジのユリを、握って。
「大丈夫だ、ママ」
ピンクのユリを見つめて。
「あなたも元気でね、ママ」
白いユリを掲げて。
「…覚悟はとうに出来ています
…後はお頼みします、貴方に
私達の全てを」
赤いユリの香りを嗅いでみた。
甘い、香りがした。
「頼むしか、俺達にはできない
…後はあんたに懸けるしかないんだから」
「勿論
それが俺の使命だからなあ
…下界の子達もすぐに、この世界から魂が還る
……君たちの戻る世界が、吉と出るか凶と出るか、それはいわば君達次第だ
記憶もきっと、残らない」
セッちゃんが手にしていたのは、”黒いユリ”だった。
Aの元にあったユリの花を眺めて、ただ黙って。
「…、イズミさんも、大丈夫かあ？
…もう、時間はないぞお」
視線だけを向けたママに、セッちゃんは背を向けて頷いた。
Aに手を振れるだけで、ぼそっと、本当に小さな声でこう呟いて。
「…もう一度、会えたら
今度は絶対に、離さないように、…できたらいいのにね」
その声は、みんなに聞こえたかどうか。
少なくとも、俺にははっきりと聞こえた。
自棄に、はっきりと。
それは後悔か、何なのか。
今考えられることじゃあ、ないんだけれど。
黒いユリを抱きしめて、セッちゃんは言った。
「いいよ
もう、心残りはない」
目を閉じて、ただ手に握ったユリの紙切れの感触だけを感じて。
「そうか
…ごめんな、本当にありがとう」
俺達は、ただ祈るだけ。
『 第一章、鎮魂歌、魂を世界に宿し
第二章、装飾曲、己が世界を彩り
第三章、狂詩曲、我が想ひと共に狂喜す
第四章、終曲、世界の終はりと共に我が愛し子の魂を還すことを願はん 』
『 最終章、”終焉の詠唱” 』
時計の秒針は、そこで止まった。
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不意に、風の音が聞こえる。
肌に感じるのは、涼しげな空気。
ゆっくりと目を開けた。
豊かな緑。
少し遠くには小さな建物。
”いつものように”寝そべった俺。
傍には、見覚えのない物が落ちていた。
「……何、…これ
…栞、？」
2つの異なる時計の秒針は
別方向にゆっくりと、動き始めた。
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まひる(プロフ) - 朔さん» 長かったのに最後までありがとうございました(/´△`＼)そう言っていただけると本当に嬉しいです！新作も是非読んでいただければと思います(*’ｰ’*)ﾉありがとうございました(人*´∀｀) (2019年8月1日 21時) (
レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - 最終章までお疲れさまでした。最初から最後まで楽しく読ませてもらいました。内容もしっかりしてて読んでて凄く楽しかったです！新作、楽しみに待っています！ (2019年8月1日 19時) (レス) id: ba31d19644 (このIDを非表示/違反報告)
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