Knightsだけのお嬢様。Final【あんスタ】

173 enjoying time ページ23

鳴上side









「ああ〜っ………疲れたぁ……」







まるで仕事終わりの大人みたいにそう呻いて椅子にドッカリ座る。



その姿を泉ちゃんが見て、酷く顔をしかめた。









「…ナルくんさぁ……グラビアモデルの自覚もう少しもったらどうなのぉ…？
顔は良いのにさぁ、そんなオヤジみたいに…」





「最後は余計よっ泉ちゃんのバカっ

そういう泉ちゃんだって、ヘトヘトじゃないっ」








喚いて指を指せば、泉ちゃんはため息を吐いて片耳を塞いだ。

いつもの布団にいる凛月ちゃんも、うぅ、と呻いて耳を塞ぐ。








「…うるさいナルくん……

……Aのレッスン疲れないわけ無いでしょ…
休憩は取るけど、ひとつひとつのメニューがキツいのは確か。
プロのレッスン、って感じ

ありがたく受けときなよぉかさくん。
Aのレッスンなんか当時で言えば1ヶ月で１回できるかできないかだからねぇ？」





「…lessonだけでそれほど……！？
やはりお姉様は素晴らしいのですね！marvelous！

……とはいえ、さすがに疲れました
緊張感がずっとbodyに纏わりついてくると言いましょうか…」








突然、王様が顔をあげた。

いつもの霊感が湧き終わったのだろう。








「だよなぁ、Aのレッスン、凄い緊張っていうか……ピリピリする
Aは怒ってないんだけど……駆り立てられる、ともなんか違う……」







ううん、と唸り始める王様に、眠そうに目を擦った凛月ちゃんがむっくり顔をあげて言った。








「……見られてるって感じがする
…ちゃんと見てくれてるって、感じ」







眠そうに細められた眼は、テーブルにうつ伏せになって寝ているAちゃんに向けられ、ふと笑ったように見えた。

目の前のAちゃんを見て、呟く。









「…見てもらえてるから、ね
…確かに、そうかも。


自分の格好良い所を見てもらいたい、無意識にそう思っちゃっているのかもしれないわね」









白い頬を人差し指でそっとなぞって、ふふ、と笑う。









「……うー…？」


「……」


「heartですか」






首を傾げる王様と司ちゃんに、黙る泉ちゃん。









私は笑って、人差し指を口元に立てた。









「魔法かしらね」









どんなに辛くても、キツくても、レッスンをできるのは

見てもらえているからで、



だから、そんなレッスンも悪くないと

楽しいと、思っているのかもしれない。









.

174 共に迎える朝→←172 その名は『希望』という

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す