Knightsだけのお嬢様。Final【あんスタ】

153 愛しています ページ3

「綺麗…」




「…変わらないわねぇ、ここも」








5年くらい前に、グラビアモデルの後輩たちを連れて来た海。


前から、私が好きだった場所。









靴を脱いで、海に浸かる。

冷たい水で、足が少し痛くなった。









「今冬よ？

風邪引いちゃうわよ、」





「今日だけ、お願い」






「……お願いって言われちゃうと、ダメって言えないじゃない？」








笑って、嵐も靴を脱ぎ、私の後をついてくる。

少し深くまで入る私に、嵐は浅い所で足を浸けるだけで、ただ私を眺めている。









「……楽しい？」




「ええ、楽しい

楽しそうなAちゃんを見るの、幸せ」








にっこりと笑った嵐に、そっかと笑い返して一歩踏み出すと、

足を滑らせて体が一気に傾いた。









「………っ…わ……！？」









.









.









目を開けると、目の前に嵐の顔がある。

お互い海に座り込むような形になって、服も水を含み、ずっしりと重い。









「…大丈夫？危ないわよ、奥に行きすぎると」





「……ご、ごめん」









離れようとすれば、嵐は私を優しく、でも固く抱き締めていて、体を離すことができない。









「……嵐？」






「……アタシ、Aちゃんとなら死んでも良いわ
もしくは、Aちゃんになら殺されても良い」









突然そんなことを言い出す嵐に、

私は抱き締め返して耳元で呟いた。









「……なら、お望みのままに致しましょうか」









その首もとに、指先をつぅ、と滑らせる。




顔を離して嵐の顔をみれば、

ポカン、と何とも間抜けな表情で。









「………、どう？今の、良かったでしょ？」









にこっ、と笑って見せると、

嵐は楽しそうに笑って見せた。









「イイわねぇ、今のゾクッとした

神の演技力は今も滞在ねぇ？」






「ふふ」






「少し遊んじゃおうかしら





大好きよ、A」





「愛してる、嵐」






「世界で一番素敵よ」




「宇宙で一番綺麗」






「アタシの物にしてしまいたい」





「嵐が望むのなら」









"遊び"と呼ばれた言葉の掛け合い。


瞳は楽しそうで、悲しそうで







でも、









「好きよ、大好き



今も、これからも多分、ずっと」









.









耳元で『ありがとう』って、


そう、言われた気がした。









.









.









.

154 伝えられない→←152 美しい人形

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す