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「それが……わたし、来年受験じゃないですか……。それで両親に、大学受験する為にアイドル活動を休業しろって言われて……。でも、アイドルの世界って一年活動しないだけで後から出てきたアイドルにどんどん抜かされちゃうし、季実子さんやジェイミーにも置いて行かれちゃうし……。だから勉強しながら続けたいって言ったら、出来るわけ無いって反対されて……喧嘩になっちゃって」
季実子にとってその相談はかなり難しいものであった。彼女自身が愛花のような経験をしたことが無いからである。そもそも、この世界に入ったのが十九の時だったのだ。既に母親との大学どうこうの話は終わっていた。故に、答えに悩む季実子は顎に手を添え、考え込む。
「このことは細坪さんには?」
「まだ言ってません、今初めて人に話しました……」
「えっ!?それは早く言った方がいいよ!」
「うー、だって……"もし休業するならもう戻って来なくていい"とか言われたりしたらと思うと……」
「えぇ!?そんなこと言うわけないじゃないあの優男が……!あっ、嫌な言い方になっちゃった……」
「……ふふ、優男……」
涙が止まったらしい。少し穏やかに微笑む彼女に、季実子も自然と笑みが溢れる。
「そうですね、やっぱり細坪さんにも相談しないといけませんね」
「そうね……。わたし個人の意見を言わせてもらうと……。正直、愛花には休業なんてして欲しくない。前にも言った通り、マカロンズには旧メンバー居たって話したでしょ?」
「はい……」
「彼女らが辞めて、一人になってアンタ達が加入するまで……。一人でキャンディーズを歌うのはすごく辛かった」
「季実子さん……」
「でも、ご両親が愛花の将来を思う気持ちも分かるし、結局選択するのは愛花だから」
そうですよね。ポツリとそう呟いた愛花をよそに、季実子の脳内は惣一の姿で一杯になった。同時にブラッドスタークの姿が重なり、何故こんなビジョンがと振り払うように頭をブンブンと振る。季実子自身の発した"選択"という言葉が銃爪となったのか。
「ありがとうございます、季実子さん。わたし、細坪さんに言ってきます!」
「う、うん。細坪さんなら愛花のこと尊重してくれると思うし、両親の説得に行くぐらいのことまですると思うから。信じよう、わたし達のプロデューサーを。それに、もし愛花が万が一休業することになったとしても、わたしは信じて待ってるから」
「……はい!」
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うれい(プロフ) - Haiterさん» コメントありがとうございます!マスターと夢主のやりとりは一番楽しんで書いているところなので、お褒めいただき嬉しい限りです!夢主まで好みと言ってくださるとは……!これからも性格の悪い彼女が暗躍しますが、彼らの幸せを願って下さると幸いです^^ (2018年12月9日 15時) (レス) id: 41522bcf43 (このIDを非表示/違反報告)
Haiter(プロフ) - 初めまして、コメントさせていただきます。マスターとヒロインのやり取りが可愛くてニヤニヤしながら、毎回読ませて頂いてます!ちょっとダークなヒロインも好みで大好きです!これからも更新楽しみにしております(*´▽`*) (2018年12月8日 23時) (レス) id: fd3983f77f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サインバルタ | 作成日時:2018年11月20日 6時