いつか君と

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:897 hit

お返しページ6

Aside

どのくらい時間が経ったのだろうか。

目を開けるとあたりはすでに薄暗くなっていた。

たまたま隣にあった壁によりかかるように

意識を失っていたのだろう。

周囲の人からしたらただの眠っている人くらいにしか

思われずずっと放置されていたのだろう。

ゆっくり立ち上がるともうめまいはしなかった。

A「行かなきゃ」

もう夕方を過ぎて夜が来ようとしている。

他人とはいえ心配されるのも嫌だった。

中に入ろうとドアノブを握ると

ちょうど正面から出てきた帽子をかぶった少年と

ぶつかりそうになった。

A「っ、ごめんなさい」

サトシ「俺も前見てなかったし、ごめんな」

下げていた頭を上げると

彼の肩に乗っているピカチュウが視界に入り

少年の横を通り抜け

逃げるように中へと進む。

デント「A!来てくれたんだね!

遅かったみたいだけど、何かあったの?」

私の姿を見るなりデントが駆け寄ってくる。

「あれ?あなたはさっき外で居眠りしてた子よね?

もう少し早く来ればいいポケモンバトルが見えたのに」

私が答えるより先に、一人の女性が声をかけてきた。

A「・・・」

デント「ポッド、コーン、接客お願いできる?」

何も言わない私を見かねたのか

デントは私を一番奥の席に案内すると

自分も向かいの席に座った。

何なんだ、この雰囲気。

まずここがなにかもわかってないし

レストランとかジムとか言ってるけど結局は何なんだ?

そして一番気になるのは

デントがなぜここに私を呼んだのか。

こっちとしてはハンカチを返す機会ができたから

結果としてはいいんだけど。

ハンカチを返して早く出ていこう。

そう考え私はショッピングセンターで

丁寧に包装してもらったハンカチを差し出した。

A「昼間は、ありがとうございました」

デント「これは?」

A「さっき、ハンカチ汚しちゃったから・・・

何も返さずにさようならっていうのは違う気がして」

デント「そんなこと気にしなくていいのに。

でもありがとう。せっかくだからいただくよ」

なんとか受け取ってもらえた。

A「それじゃあ、私はこれで」

席を立ち店を出ていこうとすると

手を掴まれる感覚があった。