第297話 ページ18
ジャ｢貴女がまた連れ去られるのかと…。寿命が縮みましたよ｣
しかも事件は今日起きたばかりだ。
私がいえる立場じゃないが、仕事馬鹿も非常時には休み休みやってほしい。
…いや、十分休んでいたか。
忘れそうになるけれど、Aさんは一般人なのだ。
毎日王宮にいても、文官武官どちらでもない、我々の庇護下にあるべきシンドリア国民の一人であって、生業としている商売を制限して良いはずがないのだ、…本来ならば。
端的に言えば、異常事態。
国を挙げて一人を王宮に留めようとしている。
そもそも、いつから事態が始まっていたのか。食客に迎えたときから？
今日急転した？
彼女がこの国に来たその瞬間から？
不明な点が多すぎるとわかっていても、続行するほかないのだ。一連の問題の鍵は彼女自身にあって、ならば解決方法も彼女自身にあるはずなのだから。
目の前の聡明な彼女は、本当は、理解しているんじゃないだろうか。
ジャ｢…やっぱり店の確認は建前でしょう、Aさん｣
A｢…心のどこかで、自分だけで収束できたら、と……。
国王様も仰っていたのに、あさはかで、とても…恥ずかしいことです。
…ジャーファルさんにはお見通しでしたね。私よりも、私の思考をご存知のようです｣
ジャ｢えっ｣
A｢えっ｣
お互い目と口を中途半端に開いて顔を確かめあう。
それはない。即座に否定した。
ジャ｢『お見通し』って…、ありえませんよ！
わかっていたら、貴女がそんなことを考える前に手を打ってます！よく回る頭脳を買ってはいますが、突飛なことをするところは本当に予想外で、とても予測できませんよ！
だいたい見抜けていたら、今頃私は貴女と…っ！｣
Aさんと。
その先を言いかけて、水中から顔を上げるように息を吸い込んだ。
自分の口が繰り出そうとしたことに呆気にとられた頭が、止まってくれたのは幸いだった。直前ではあるが。
いつからこんなに貴女を隣に置いて考えるようになったか。
目の前にいる貴女が、知らないことだけは知っている。
自分自身についてしまった私のため息に、何を憂慮したのかおろおろと眉を曇らせるAさんに、向き直る。今こんなことを伝えても、誰にとっても迷惑なのは明白だ。
ジャ｢…とにかく、ちゃんとベッドに戻って………？｣
――――視線を、感じる。
ジャ(しまった……‼)
思うが早いか、Aさんを背に、刺さる視線のその元を視線で射返して―――
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カルティ(プロフ) - 凛さん» 長らくお待たせしてます。凛さんのコメントに、本当に救われます…！凛さんに宛てる心づもりで書いていきたいです。どうぞ、今後もよろしくお願いします！！ (2020年5月2日 18時) (
レス) id: 8b553715eb (このIDを非表示/違反報告)
凛 - 更新ありがとうございます。このお話が大好きで、ずっと楽しみにしていたので、とても嬉しいです！続き楽しみに待っています。 (2020年4月26日 0時) (レス) id: 119aca1ca3 (このIDを非表示/違反報告)
カルティ(プロフ) - 幽さん» 幽さん、コメントありがとうございます。温かい言葉に支えていただき、今日更新に至りました。これからもお待ちいただけたら嬉しいです！これからもどうぞよしなに。 (2019年11月30日 18時) (レス) id: c008cc11a5 (このIDを非表示/違反報告)
カルティ(プロフ) - 夏澄さん» 夏澄さん、ありがとうございます！更新しました！！読みやすいと言っていただけて口が緩むのが抑えられません…！読みにくさを気にしてるので本当にうれしいです。今後もどうぞよしなに〜。 (2019年11月30日 18時) (レス) id: c008cc11a5 (このIDを非表示/違反報告)
カルティ(プロフ) - Msさん» Msさん、ありがとうございます！落ちは最後まで明かしませんので、どうぞこれからもよしなに。マスルールとももだもだできるといいなと思ってます(笑) (2019年11月30日 18時) (レス) id: c008cc11a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カルティ | 作成日時：2015年7月30日 19時
